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宇都出ブックセンター本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
2016.12.11 Sunday
『すべての営業のための 絶対達成バイブル』 「マインド」から「資産(ストック」」まで
JUGEMテーマ:読書
「絶対達成」シリーズで有名な営業コンサルタント・横山信弘さんの最新刊。 書名のとおり、まさに「絶対達成」の集大成ともいえる内容です。 「絶対達成」という言葉の起源に始まり、「絶対達成マインド」「絶対達成スキル」「絶対達成リーダーシップ&マネジメント」と心構えから具体的なスキルまでカバーされています。
「絶対達成」と聞くと、何かゴリゴリの厳しい精神論のように受け取られるかもしれません。私も最初聞いたときは、そんな印象を持ちました。しかし、『絶対達成』シリーズを実際読んでみて、極めて真っ当で納得できるロジックがあることに感銘を受けました。 しかも、そのロジックがいわゆる「机上の論理」ではなく、行動を土台にしたロジックであり、実践と結びついている、といいますか、結びつかざるをえないようになっています。
たとえば、 2013.11.18 Monday
『関わりあう職場のマネジメント』
JUGEMテーマ:読書
タイトルの「関わりあう」という言葉と帯にあった「第56回日経・経済図書文化賞 受賞!」という言葉につられて買って読みました。 統計調査による実証分析のところはさておき、それ以外のところは非常に読みやすく、自分が社会人になったころから抱えているテーマにも共鳴し、本当に「あっ」という間に読んでしまいました。 なお、「自分が社会人になったころから抱えているテーマ」というのは、組織(集団)と個人の関係です。 もともとは個人のために生まれたはずの組織が、なぜ個人を抑圧したり、その可能性を阻害する方向に働くのか? どうやったら個人も組織もその本領を発揮するためにサポートし合えるようになるのか? 会社に入ってそのことが頭から離れませんでした。 そこから労働組合にかかわったり、 そこで燃え尽きて会社を辞めて、今度は組合のない会社を選んで転職したり……、 コーチングなどコミュニケーションを学んだり……、 そして10年前には独立して、自営で仕事している自分がいます。 独立しても、本を書いたり、1対1の電話コーチングをしたりなど、直接的に関わる人が少ない仕事をする一方で、 管理職研修など組織の中でどっぷりと働いている人にも関わってもいます。 さて、私の話はさておき、本書が伝えたいメッセージ(検討する基本仮説)は、
こと。
なお、タイトルにもあるキーワードの「関わりあう職場」というのは、
なので、この点は誤解ないように。
実はここで「閉じた共同体」という言葉が出てきていますが、「閉鎖的な」共同体(コミュニティ)か「開放的な」共同体(コミュニティ)かも本書が伝える大きなポイントでもあります。 少し引用すると、
この「流動的なメンバーによる相互の対話によって規律や規範が形成される」の「相互の対話」というのに引かれますね。つまり、ここの「規律や規範」は静的なものではなく動的なものなわけです。 もう少し具体的に言うと、
「対話」といえば、ナラティヴであり、コーアクティブ・コーチングの先輩である加藤雅則さんが『自分を立てなおす対話』という本も書かれていますが、「対話」を組織に持ち込み、個人と組織の間をつなぐ取り組みをされています。 参考記事→ ナラティヴ・アプローチ また、この「閉鎖的コミュニティ」と「開放的コミュニティ」という話は、このブログでも以前かなり取り上げた広井良典さんの考えにもつながりますね。 参考テーマ→ 広井良典 少し、脇にそれてしまいました……。 さて、先ほど述べた本書の基本メッセージに戻ると、この基本メッセージは二つの矛盾を表現しています。 ● 一つは、自律的に行動するという個人主義的な行動のために、自己完結的な仕事の設計ではなく、「関わりあう」という集団主義的アプローチを取るということ。 ● もう一つは、「創意工夫」という、いわば「職務上やるべきことして明確に定められた役割」ではない行動をマネジメントするということ。「本来管理者がコントロールする範囲の行動ではない。このような行動を実行するようにコントロールするのも矛盾する話」でしょう。 しかし、これは私の25年にわたる社会人生活のなかで、実感してきたことであったり、重要なことであったりするのです。おそらく、これを読んでいる方もうなづく人が多いのではないでしょうか。 このように、本書は現場で働く人(私だけかもしれませんが)が抱えているテーマにドンピシャで焦点を当てているのです。 そして第1章では「タマノイ酢」のインタビュー調査を紹介していますが、 私が面白かったのは次の第2章「協働と秩序と自律」で、公共哲学の視点を取り入れて語っているところ。新たな言葉を知って、視野が広がった気がします。 まずは、秩序と自律という相反するように思われる二つの関係を語る「逆転共生」という言葉。
もっと具体的に言うと、
こう書いてしまうと、「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、これまで、なんとなくしか説明できなかったことを「逆転共生」という言葉が与えられたことで、より自分のなかで考えが整理できるようになりました。 その結果、秩序と自律といったこれまで相反する、矛盾する関係のように思っていたことを、より効果的に活かせると思います。 もうひとつは、「組織−個人」の二分法ではない、「組織−職場−個人」の三分法。 これは公共哲学において「公−私」の二元論の限界を乗り越えるために、「公−公共−私」の三元論で考えるところからヒントを得たそうです。 公共哲学では「滅私奉公」もその逆の「滅公奉私」も「公共性」を欠くという点では同じ穴のムジナであり、「活私開公」なる新たな関係が提示されているといいます。 孫引きになりますが引用しますと
二元論ではなく、その境界領域を設定した三元論というのは非常に面白く感じました。 ただ、正直言うと、まだ腑に落ちていません。 実務上、こういう境界領域というのは存在し、それが大事なのはよくわかるのですが、ある意味、そこに矛盾や問題点が集約される面もあるので。 「職場」なるものが「公共の場」なのか、そうなりうるのか、それを設定することで、解決するのかどうか、あまりまだ実感がわかないところです。ただ、さらに考えていく足場というか糸口は与えてもらった気がしています。 公共哲学なるものにもがぜん興味がわいてきましたね。さっそく、山脇直司さんの本は読んでみたいと思います。 さらに第3章「上からのマネジメントと下からのマネジメント」は経営管理論の視点からみたものですが、これもなかなか興味深かったです。 その中でも興味を引かれたのが、「協働的コミュニティ(collaborative community)」。これはポール・アドラー&チャールズ・ヘクシャーが提唱している考えだそうです。(ハーバード・ビジネスレビューで『協働する共同体』という記事が掲載されています) この特徴は、「同僚間の開放的な対話によって形成される内省的信頼」。
最初に書いた「開放的コミュニティ」の話はここから来ているのだと思いますが、この可能性はコーチングのワークショップや対話をベースにした研修をするなかで実感しますね。 このように、いろいろと刺激的な概念が出てきて、好奇心をかきたてられる本でした。 なお、最後にちょっと自分には痛い言葉も…… それは「『いざとなれば出て行く』という無邪気な個人主義」。 自分がこれまで転職やいろいろな組織を離れてきた経験を振り返り、「これ、自分のこと?」と思いました。 この「『いざとなれば出て行く』という無邪気な個人主義」は、これまで日本企業を支えてきた「心情反射作用(『お互いの気持ちをわかりあう能力』)」に代わるものとして提示されています。 これも孫引きになりますが、
著者は、「関わりあう職場のマネジメント」は、こういった「無邪気な個人主義」に駆逐されてきた心情反射作用や市民精神といったものを「新たな形で取り返す作業」と位置づけています。 最後になって、少々複雑な気分です。 自分自身の持っていた(持っている)『いざとなれば出て行く』という無邪気な個人主義」が、自分が願う「組織も個人もお互いを生かし合う」ことを阻害してきたのかもしれません…… ただ、私としては『いざとなれば出て行く』という無邪気な個人主義」も切り捨てずに、受け入れるところからスタートするとは思うのですが……。 2013.02.24 Sunday
アナタはぜチェックリストを使わないのか?
あなたは仕事の中で「チェックリスト」を使っていますか? 仕事の種類にもよりますが、ぜひこの本を一読してチェックリストを導入するかどうか検討することはお勧めです。 とはいえ、「チェックリスト」と聞いて、「そんな面倒くさいこと」と思う人も多いでしょう。 「私たちは、チェックリストを使うのは恥ずかしいことだと心の奥底で思っているのだ、本当に優秀な人はマニュアルやチェックリストなんて使わない、複雑で危険な状況も度胸と工夫で乗り切ってしまう、と思い込んでいるのだ。」 また、「チェックリストなんて初心者が使うもの」と思う人もいるかもしれません。しかし、チェックリストは熟練者を助け、その仕事の質を助けてくれるものでもあるのです。それはなぜか? この本では外科医である著者が、そのホームグラウンドである医療現場のほか、巨大なビルの建設現場、ジャンボ・ジェット航空機の運転現場、さらには数億ドルの資金を運用する投資現場にまで足を伸ばし、生の話を紹介するなかで明らかにしてくれます。 「チェックリストは、熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具なのだ。素早く使えて、実用的で、用途を絞ってあるという特性こそが肝要だ。だからこそ有効で、だからこそ何千人もの乗客の命を救えたのだ。」 「何千人もの乗客の命を救えたのだ」とありますが、チェックリストが多くの乗客の命を救った例として記憶に新しいのが、2009年の「ハドソン河の奇跡」です。これは、雁の群れと遭遇してエンジン停止した飛行機を、見事、ハドソン河に不時着水させて全員無事だったという事故?です。 2011.02.12 Saturday
日本経済を復活させる方法は、「おカネの供給を増やすこと」
デフレ、不景気。
日々、新聞やテレビの話題になっています。 どうすれば、もっと景気がよくなるのか? デフレが解決(つまりインフレ)になるのか? そもそも、景気がいいとはどういうことか? デフレとは何なのか? いちおう、大学は経済学部出身の私ですが、あまり興味がありませんでした。 ここ3年、”子育て引きこもり状態”で、仕事は本の執筆や電話・スカイプでのコーチングなど自宅や自宅周りで行える仕事が中心。 家族と朝・昼・晩の3食をほとんど一緒に食べるといった毎日です。 関心が極度に内向きというか狭いところにいっています。 また、コーチングは、クライアントの”人生”に焦点を向け、しかも、あれこれ、いろいろな環境はさておき、「で、あなたはどうしたいの? どうするの?」というところに入っていくので、世の中の経済状況については、他人事とはいいませんが、遠い存在でした。 どちらかというと、昨年、さかんにこのブログで広井良典さんの一連の「定常型社会」に関する著作を紹介しましたが、このゼロ成長という状況の中で、さてどうするかという方向に関心が向いていました。(http://utsude.jugem.cc/?eid=125) 「成長っていっても、それって幸せと結びつくの?」 「成長、成長って、ほんとに必要なの?」 というように、漠然とした疑問を持っていたように思います。 ただ、昨年から今年にかけてベストセラーとなっている『デフレの正体』を読むことがきっかけで、少し、経済に関心が向き始めました。 経済学部を出て、しかも経済出版社にも勤めたことがありながら、ちゃんと経済学を理解していないことに、われながらショックを受けたことが要因でしょうか。 (ちなみに、『デフレの正体』を読んだきっかけは、著者の藻谷浩介さんが、大学のクラブ(自転車部旅行班なる)の2年上の畏敬の先輩だったことです。) ということで、本書です。 みなさんご存知の勝間さん、若手(1975年生まれ)の経済学者飯田さん、そいてテレビでもおなじみの評論家・宮崎さんの対談です。 タイトルの答えにもなる、本書の結論というか、言いたい事は、 政府と日銀はおカネの供給を増やしましょう! です。 週刊誌?的な日銀批判あり、経済学的な解説もあり、でなかなか面白い本でした。 面白かったところ、経済学的知識でそうなんだと思ったところなど書いておきます。 2011.01.22 Saturday
「好きな仕事」でないとサバイバルできない
昔から吉田松陰が好きで、松下村塾には憧れのようなものを持っていました。 正式な藩の学校からではなく、一人の人間(しかも罪人)が無料で行っていたほんの小さな塾から、大きく時代を動かす人が現れたのは奇跡以外の何者でもないですね。 というより、「変革は辺境・周縁から」と言われるように、そういうものなのかもしれません。 で、「私塾のすすめ」です。 ただ、本書では何か具体的な「私塾」の形というのはハッキリと描かれているわけではありません。 そもそも、「私塾」というと私は松下村塾のような、ある一人の人が志をもって作る塾を想像していましたが、そうではないのかもしれません。 本書では、梅田さんや斎藤さんが主宰する「私塾」というような形も語られていますが、現代の「私塾」の「私」とは、学ぶ立場の個々人のことであり、個々人が目的意識をもって、インターネットによってアプローチ可能になった多くのリソースを使いこなしていくのが「私塾」なのでしょう。 そんな本書で特に印象に残ったのは、「私塾」には余り関係なのですが、次の言葉です。 「好きな仕事」でないとサバイバルできない 「好きな仕事ではサバイバルできない」ということはよく言われますが、その逆なわけです。 2010.06.24 Thursday
「徹底的に正直(Radical Honesty)」なセールス
その後、この本の高確率セールスの日本導入にたずさわり、日本で一人目の公認トレーナーになり、この本の続編の翻訳(http://utsude.jugem.cc/?eid=64)も行いました。 思い出深い本です。 (以下、当時の本の紹介) 神田昌典氏の著書を読んでいた方ならご存知の「High Probability Selling」の邦訳本です。 買いたくないお客を説得することに時間とエネルギーを使うよりも、買う気のあるお客に時間とエネルギーを使うほうが効率的であるという、あまりにも当たり前な、しかし営業現場では行われていないやり方です。 神田さんはこの本にヒントを得て、「相手を見極め、自分の客としてふさわしくないお客はお断りする」という「殿様セールス」を提唱しています。 注)詳しくは「非常識な成功法則―お金と自由をもたらす8つの習慣」(神田昌典著 フォレスト出版)の164ページ参照。 「営業マンは断ることを覚えなさい」(石原明著 明日香出版社)も、これまでの営業の常識と違ったやり方を進める点で共通していますが、その内容はかなり違います。石原さんが「断る」ことを勧めるのは、「断ることで主導権を取る」「断ることで有利になる」ためで、相手を操作しようという点では従来型セールスと変わりません。 神田さんの「殿様セールス」も「売り込まない」ことで相手の譲歩を引き出そうというところがありますが、高確率セールスは石原さんや神田さんとは全く違う次元のものです。相手を操作することを厳しく排しているんです。本の中から一部引用してみます。そのまっすぐさにびっくりするでしょう。 ●(高確率セールスを行う営業の)ただ一つの共通点は、彼らが<<質問し続ける>>という点だった ●「高確率セールス」では互いを信頼し尊敬しあう人間関係づくりをねらいにする。そのためには相手の人となりを知る必要がある ●セールスパーソンが、ごまかし抜きでほんとうに答えが知りたいから質問していると感じれば、たいがいの顧客は誠意をもってきちんと答える ●「感じる」というのは、直観、つまり無意識の反応だ。売り手のアプローチが正直であれば、相手は深いところでそれを感じとるものだ。したがって、質問は心からのものでなければならず、決して脅迫的であってならない ●相手が話をしているときに次の質問を考えてはいけない ●まず聞いて、それから考えること。じっくり聞いていないと、相手の発言への反応が鈍くなる。もし興味が持てず注意が散漫になると、相手は即座にそれを感じとり、売り手を的確でないと判断するかもしれない ●ほとんどのセールスパーソンが、信頼関係をつくることは「高確率セールス」のうちでもっとも困難で葛藤が多いところだと言っている。商売を忘れて<ひとりの人間>にならなければならないからね ●仕事でもプライベートでも、敬意や信頼のないところにまっとうな人間関係は育たない ●コツは客に対して心から興味をもつ、ということだ。見え透いた演技は通用しない。セールスパーソンがいかにも興味があるようなフリをして聞いていてもすぐに見抜かれる。すっぱりと話を打ち切られるのがオチだ ●結果を出すことに執着しているわけではなく、何かを無理強いするつもりがないとわかると、客はセールスパーソンを信頼しはじめる。そうなるとセールスパーソンの側も、疑いや抵抗、敵意を処理する必要ななくなるのだ ●しかしだれかに信頼されるためには、自分が信頼に足る人間でなければならない。大事なのは、何をするかではなく、どうあろうとするかだ。心から興味をもてば、必ず相手に伝わる。相手は言葉そのものよりも、そこににじむ人間性に耳を傾ける。誠意を持ち、率直にものを言い、相手に無理強いする意図もないとき、態度にもそれが現れ、相手は君を信頼する この本の発売の直後、この「高確率セールス」の日本代表とお会いする機会がありました。 この方に、「高確率セールスとは何ですか?」と質問を 投げかけたところ、 ●●「Radical Honesty」(「徹底的正直さ」)●● という答えがかえってきました。 この本を読んでいた私は、おおきくうなづきました。全く新しいセールスパラダイムです。神田さんや石原さんのやり方とは、その徹底さにおいて、全く違います。次元が違います。格が違います。本当にRADICALです。 ここ最近、神田さんと近い人たちから、明らかに高確率セールスを参考にしたと考えられるセールス手法を解説した本が出版されています。合わせて読むといいでしょう。 「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」(佐藤昌弘著 日本実業出版社) 「「行列のできるスーパー工務店」の秘密」(平秀信著 日本実業出版社) 2010.04.30 Friday
くたびれた中年になるか? それとも味のある中年になるか? そのカギが「皮むけ」
昔、子どものころに、NHKの夜に「銀河テレビ小説」というドラマ枠があり、そこで「中年ちゃらんぽらん」という番組がやっていたのを覚えています。 確か、山城新吾さんがちゃらんぽらんな中年を演じていたような。。。「中年ちゃらんぽらん、ちゃらんぽらん。。。」という出だしで始まる主題歌が今も耳に残っています。 さて、中年になると「くたびれる」なんて表現もされますが、本書の冒頭ではこんな二つのパターンが示され、突きつけられます。 「年齢を重ねるごとにビッグになっていくひと」 「年齢を重ねるごとに干上がっていくひと」 うーん。私はどっちらなのだろう? 思わず考え込んでしまいました。 もしあなたも「中年」といわれる歳であれば、考えてみてください。あなたはどうでしょう? この「中年」という時期は大きな分岐点にいるのかもしれません。C・G・ユングは、四十歳間際を「人生の正午」という、限りなく美しく、かつ寂しくもある言葉で形容した。人生の午前から午後への変極。成長から成熟への転換点が三十八歳〜三十九歳で、「四十歳から本当の個性化がある」と、ユングは言っている。 そして、著者は、ビッグになるか? 干上がるかを分けるものとして「一皮むける経験」を取り上げているのです。 もともとこの「一皮むける経験」は、アメリカのリーダーシップ研究で、「quantum leap experience」、直訳すれば「量子力学的な跳躍となった経験」ともいうのでしょうが、そんな経験の研究に触発されたそうです。さらに、ザリガニの脱皮を見たことで、「一皮むけた」という言葉を思いついたといいます。 確かに、「一皮むける」。これ大事だと思います。 何か、少しずつの成長というより、質的な変化というか、レベルが変わるような成長。 もちろん、そこには、少しずつの成長の積み重ねがあると思うのですが、それだけではなく、何か大きな壁や対象を乗り越えるような経験が必要なように思います。 あなたはこの「一皮むける経験」をどう思いますか? あなたにとっての「一皮むける経験」とは、何だったのでしょう? もしかして、これからかもしれませんね。 「よし一皮むくぞ!」と思う人にとっては本書はそんな機会に気づき、出会ったときに立ち向かえる力を与えてくれるかもしれません。 いくつか本書で紹介されているキーワードを紹介しておきましょう。 2010.04.25 Sunday
つながってつながって、それがビジネスを生み、お金を生む
気にはしつつも、敬して遠ざけていましたが、先日、コーチ仲間に薦められて、始めてみました。 やってみると140文字なので、気楽に書けるのですが、「こんなの書いていいのかなあ」とか、悩んであまりつぶやけていませんね。 自分が書くよりも、ほかの人のつぶやきの量に圧倒されていました。私のつぶやきを読むという「フォロワー」がついていくのですが、知っている人のほかに、知らない人がどんどんとフォローしてくるわけです。しかも多くはビジネスアカウントです。 この大量のつぶやきとどう付き合っていけばいいのか、また自分が何をどうつぶやいていいのか? まだまだ途方にくれているところです。 もともとは、気楽に「今なにしている?」というのをつぶやくところから始まったもののようですが…… さて、本書はツイッターをはじめとしたインターネットのソーシャル・ネットワーク(つながり)サービスが、どれぐらいパワフルで、これからビジネスを行ううえで大切かを解説した本です。 アメリカの事例ですが、これでもかこれでもかとたくさんの事例が出て、ビジネスにおいてツイッターなどのソーシャル・ネットワークサービスを利用する注意点などもまとめられたすぐれものです。 ソーシャル・ネットワーク・サービスを活用することで生まれる「つながり・関係性」と、ビジネスの価値、お金をつなぐコンセプトが「ウッフィー」です。本書の原題ももともとは「The Whufffie Factor」(ウッフィーファクター)。これは何かというと…… 2009.03.02 Monday
白いネコは何をくれた?
JUGEMテーマ:読書 本書は昨年秋に発売され、ベストセラーになった本です。 さえない主人公が、偶然拾った猫のマーケティングの教えに導かれて、仕事、人生を好転させていくストーリーです。 大ベストセラー・『夢をかなえるゾウ』を彷彿させますが、マーケティングの「理論編」も巻末についており、単に自己啓発というだけでなく、マーケティングをしっかりと学べます。ストーリーもハラハラドキドキの連続で、しっかりと記憶に刻み込むことができます。 マーケティングを学び、そして使うもっとも身近な方法は、自分自身をマーケティングする。いわゆる「自分マーケティング」です。本書でも、随所にそういう発想が見られます。なので、実際にマーケティングを仕事にしていない人にとっても、役立つ内容です。 私自身、5年ほど前に、トム・ピーターズの『ブランド人になれ!』(TBSブリタニカ)にヒントを得て、「ブランド人になれ!」ワークショップなるものをしていたことがあります。これはマーケティングのフレームワークを個人に当てはめ、さらにマンダラートのシート、NLP(神経言語プログラミング)のニューロロジカルレベルを組み合わせたものでした。 こういった自分マーケティングは、マーケティングでは、必ず、お客様、競合といった視点が出てくるので、独りよがりの自分探しにならないのが一つの特徴です。また、自らの強み、リソースを探るためには、論理的に考えても出てきません。自分の過去、さらには価値観など探るために、自分と向き合うことが必要で、コーチングやNLPなどの心理手法を活用することで、実践可能なマーケティングになることも大きな特徴です。 経済状況が厳しくなる中、ますます、個々人が自分マーケティングを行う必要性は高まってきているように思います。実際、自分マーケティング、さらにはセルフ・ブランディングがどんどんと普及しています。 ビジネスに必要不可欠なマーケティングの知識を身に付け、しかも自分自身をこの世の中で売っていくことにつながる自分マーケティングをぜひやってみることをお勧めします。 本書はそれを行うための、有効な本であることは間違いありません。 まずは本書で紹介されている問いを自分自身に投げかけてみましょう! 2008.08.12 Tuesday
ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)
JUGEMテーマ:読書 数年前、テレビのゴールデンタイムのコマーシャルを、消費者金融会社が席捲していた時期がありました。(今はグレー金利の撤廃で見る影もありませんが。。)「たまにはババーンと」と、消費者金融からの借金で旅行に行くことを暗に勧めているコマーシャルに、唖然としたものです。 お金自体が商品となっている消費者金融というサービス。資本主義が行き着くところまでいっているなあと思いました。その裏側というか表側というか、反対側というかそのものであるのが、華やかなイメージに彩られるインベストバンク(投資銀行)やファンド会社。 ロバート・キヨサキの『金持ち父さん・貧乏父さん』では、「お金に働かせる」ことが提唱されましたが、その裏側には、消費者金融の利子を返済するために働く、「お金に働かせられる」人の存在が必要です。 富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる。そんな格差社会を象徴するものでした。 |
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