宇都出ブックセンター

本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
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「自分もやめられるかも…… はじめられるかも……」と希望を持たせてくれる本
 コーチングでは「人に焦点を当てる」ことが大事になります。

その人の大事にしている価値観、はまりこんでいる思い込み、今味わっている、もしくは味わいきっていない感情など、目の前の人、その奥に焦点を当てていきます。

もちろん、そこから得た学びから、行動に結びつけていくことも大事にされていますが、あくまで中心は人という存在です。

心理学、セラピーでも、行動療法などのように行動に焦点を当てるものもありますが、多くはその人の「心」に焦点を当て、扱っていきます。

確かにこの「心」にアプローチする方法は、大きな変化をもたらします。ただ、一方で、その人の「心」に原因を求めるため、相手を追い込んでしまう部分もあります。

「あの人はやる気がないから」

「○○さんはああいう人だから」

「私には能力がないから」

と他人や自分そのものを責めて、そこで思考停止してしまうことはないでしょうか?

本書は、そんな「心」に焦点を当てるアプローチではなく、人を取り巻く環境、そしてその環境との関係、行動に焦点を当てるアプローチです。

「行動分析学」という学問の考え方で、10年ほど前から日本にも紹介されて入ってきた考え方です。

行動を欲求や意志のような心ではなく、「行動随伴性」なる概念で理解するのが特徴です。

これは、行動のあとに「従い」、あるいは行動と同時に「伴う」出来事が将来の行動を決定するという考え方です。

非常にシンプルで、ちょっと味気ない考え方ですが、言われてみるとそのとおりだなあと思い当たることが多いです。

本書では、タイトルにあるような身近な行為を例に挙げて、やるべき行動を増やし、やるべきでない行動を減らすためのポイントを解説してくれます。

「わかっちゃいるけどやめられない」 もしくは、「わかっちゃいるけど、はじめられない」という悩みを持つ人にとって、何か希望の光が見えてくるかもしれません。

私自身、なかなかやめられない、はじめられない行動があり、半分、「自分では。。。」なんて諦めかけていましたが、本書を読んで、「自分もやめられるかも。。はじめられるかも。。。」と思い始めました。
| 宇都出雅巳 | コーチング | 16:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
コーチはポジティブ病におかされていないか?
バーバラ・エーレンライク
河出書房新社
¥ 1,890
(2010-04-10)

 これは、「ポジティブ・シンキング」とその周辺を、徹底的に批判した本です。

その槍玉に挙げられているのは、日本でもベストセラーになった『ザ・シークレット』や『引き寄せの法則』などの自己啓発本、モチベーショナル・スピーカーと呼ばれるキリスト教の説教師や、アンソニー・ロビンスなどのトレーナー、マーティン・セリグマン博士を中心とするポジティブ心理学……

そして、コーチです。

本書ではコーチング、コーチという言葉が何度も何度も取り上げられ、まるで現代のポジティブ・シンキングの権化のように、批判の槍玉に挙げられています。

私はコーチの一人であり、コーチングを広めてきた人間なので、「アメリカではそんなに影響力のあるものになっているの」「そんなに悪い影響を与えているの……」となんとも微妙な気持ちになりました。

また、「コーチングはポジティブ・シンキングとは違うんだけどなあ……」と、著者の「ポジティブ・シンキング」の名のもとに一刀両断で批判していく姿勢に反発も感じました。

著者がポジティブ・シンキングの代わりに大事だと考えているのは、物事を「ありのまま」に見ることなのですが、私としてはコーチングはまさにそのことを支援していると思っているからです。

と書きながらも、知らず知らずのうちに、ポジティブ・シンキングのワナというか、ポジティブ病におかされてもいるなかあとも思います。

愚痴っぽくなることはダメなことだといいづらくなったり、ネガティブなことは思ってもあまり言いにくくなっていたり……。
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| 宇都出雅巳 | コーチング | 11:19 | comments(2) | trackbacks(0) |
精神科治療からコーチングの導入・関係づくりを学ぶ

昔から、セラピーやカウンセリングの本は好きでよく読んでいましたが、最近は、自分が実践しているコーチングの参考のために、また再びよく読んでいます。

技法というか考え方が参考になることもありますが、日本におけるその歴史などを知ると、コーチングも同じような道のりをたどっている気がして、より大きな視点で考えることに役立っています。

ただ、「精神科」はちょっと離れているというか、方向性が違うということであまり読んでいませんでしたが、めずらしく読んでみました。

著者は数多くの著作がある中井久夫氏。中身はしっかりして、かつ、読みやすいという素晴らしい内容の文章を書く人です。

特に私が注意を引かれたのが、「治療の滑り出しと治療的合意」の章。

コーチングを実践する中で、そのセッションももちろん大事ですが、最初の導入、そして関係というか合意がとても大事だということを強く感じています。コーチング用語でいうと、「導入セッション」、「意図的な協働関係」という部分です。

この章の冒頭では、治療、病気の回復を山登りにおける「下山」にたとえて語っています。

山の頂上から下界を見下ろすと、ふもとがすぐそばに見えますね。じつはとても長い道のりなのに、「すぐに降りられる」と思って、結果的に焦ってしまう。同じことが治療においても起こるというのです。

コーチングは、病気の回復というより、目標の達成が目的となることが多いですから、「登山」にたとえることができるかもしれません。そこでも同じですね。ふもとから見る山の頂上はけっこう近くみえる。目標がはっきりすれば、すぐに届きそうな気がして、最初から飛ばしがちになる。しかし、それがあだとなって途中で疲れてしまう。また、こんなことも書かれています。

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| 宇都出雅巳 | コーチング | 00:18 | comments(0) | - |
カウンセリングはなぜ効くのか
 「カウンセリングとコーチングの違いは何ですか?」

多くの人から質問される問いです。

いろいろな説明パターンがあるようですが、私からすると「違いはありません」。

そもそも、カウンセリング自体がさまざまなやり方というか流派があります。カウンセリングといって、くくれるものなのか? ちょっと疑問です。コーチングにしても、さまざまなコーチングがあり、なんともいえないでしょう。

また、こんな問いだってあります。

「カウンセリングとセラピー(心理療法)の違いは何ですか?」
「カウンセリングと精神科診療の違いは何ですか?」

本書はカウンセリングの本です。しかし、この本の著者の『カウンセラーは何をするのか』の紹介でも言いましたが、ここで展開されているカウンセリングをコーチングに置き換えると、実際のコーチング体験や、コーチングをめぐる状況にかなり当てはまることが多く、恐ろしくなるほどです。

また、僭越ながら、本書の著者である氏原寛氏のカウンセリングにおける問題意識と、私のコーチングにおける問題意識が非常に重なるところがあります。たとえば、まえがきでかかれていること。
それは、日本臨床心理士資格認定協会が発足し、資格を認定された人がすでに3000人を超えた現在、心理士でないとできない、しかしクライエントにとっては不可欠のサービスが一体どんなことであるのか、ここいらで明確にしておく必要があると思うからである。
コーチングにおいても、臨床心理士にはその教育内容の量・質ともおよびませんが、コーアクティブ・コーチングの認定資格CPCC(Certified Professional Coactive Coach)があり、日本だけでも400人近いCPCCが生まれています。そこで今、一体CPCCとは何なのか? 何ができるのかがより問われていると感じています。

その一方で、コーチングはあらゆる人間関係のあらゆる場面に応用できるものですから、「コーチング的かかわり」や「コーチング的マネジメント」「コーチング的セールス」「コーチング的教育」などというようにということで広がっているため、コーチの専門性は薄れがちになっています。

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| 宇都出雅巳 | コーチング | 10:55 | comments(0) | - |
50年前のカウンセリングと今のコーチングの状況があまりにも似ている
 先々月、コーチングの基本的考えに対する大きな問題提起がありました。

それは、「コーチの主題(Coach's agenda)」です。

コーチングを知らない人にとっては、「この何が重要なの?」とか、「そもそも、これどういうこと?」と思われるでしょう。

私が学び、実践しているコーアクティブ・コーチングでは、基本的な考えである「4つの礎」の1つに、「主題はクライアントから(The agenda comes from the client)」があります。「クライアントの主題を支える(holding the client's agenda)」という表現もされますが、コーチングでは、コーチの主題ではなく、クライアントの主題を扱うことを強調したものです。

コーチが思う主題を扱ったり、コーチがアドバイスや指示を与えるのではなく、あくまでもクライアント自身がどう思っているのか、どうしたいのかに焦点を与えることであり、コーチングである以上、確かにこれは大事と思われるでしょう。

ただ、これがあまりにも前面に出ると、弊害も見られるようになりました。それは、コーチがただクライアントの話すことを聴いて、ただただついていくだけになりがちなことです。

そこで、「そもそもコーチングって何なの?」「コーチって何をしようとしているの?」という問いが生まれ、コーチがコーチングにおいて握っている軸というか、テーマ、つまり「コーチの主題」があるでしょ、という話になったのです。

これはとても大事なポイントで、私もそうでしょと思っているのですが、そんなとき、ある本の中で参考文献として紹介されていた本書のタイトルにグッと惹かれました。それは

「能動性と受動性」

まさに、クライアントの主題にただ従っていく「受動性」だけでなく、コーチの主題をしっかりと持つ「能動性」のことを言っているのではないか?と思ったのです。

読んでみて、著者の言う「能動性と受動性」は私が思っていたものとピッタリと重なっているわけでないことはわかりました。しかし、私が思っていた以上にさらに深い内容が本書には書かれていました。受動性と能動性もそうなのですが、今まさにコーチングが直面している大事なテーマが書かれていました。

それは、コーチングをすべての人間関係に適用できるのか? また、適用すべきなのか?

そして、コーチングの専門性とは何なのか? コーチは専門家、プロフェッショナルたりえるのか?

といったテーマです。かなり、長すぎる引用ですが、次の文章を読んでみてください。カウンセリングをコーチングと読み替えてもかなり当てはまることが多いことに、コーチングに触れたことがある人であれば気づくでしょう。



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| 宇都出雅巳 | コーチング | 01:34 | comments(0) | - |
経験からの学習を加速させるのは「顧客志向」
 このブログで紹介した『人材開発マネジメントブック』にお勧め書籍として紹介されていたので、読んでみました。

大学の先生が書かれた専門書ではありますが、とても読みやすく、示唆も具体的でよかったです。
タイトルにあるように「経験からの学習」の重要性とそのポイントを、これまでの先人の研究に加え、数多くのビジネス・プロフェッショナルへのアンケート、インタビュー調査から解き明かしています。

本書の基本的なメッセージは「人は、健全な組織において、適正な信念を育むときに、経験から多くのことを学ぶことができる」というもの。

「健全な組織とは?」「適正な信念とは?」とすぐに質問が出てくると思いますが、ここでまず注目してもらいたいのは「信念」というものにスポットライトを当てていること。

知識やスキルというものではなく、「信念」というものを重視しているのです。ここでは仕事に関する信念であり、たとえば、「お客様の要望にはすべて応えるべきである」といったものです。

信念は個人の行動や判断や評価を方向付け、新たな経験の解釈を導きます。つまり、どれだけ、どのように経験するのか? そして、どのように経験から学習するのかを左右するものです。

それでは、経験学習を効果的なものにする「適正な信念」とは何なのでしょうか? 

著者の調査によって浮かび上がってきたのは次の2つの信念です。


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| 宇都出雅巳 | コーチング | 22:47 | comments(0) | - |
リーダーはコーチングを使うより、まず自分がコーチングを受けよう!
 昨日のブログで紹介した『コーチングのプロが教えるリーダーの対話力−−ベストアンサー』。これは、組織のリーダーがチームの活性化のために、コーチングを「使う」ことを勧めるものでした。

そして今日紹介する本は、組織のリーダーがリーダーたるためには、コーチングを「受ける」ことを勧めるものです。

正確にいうと、本書でコーチングを受けることを明確に勧めていません。ただ、本書ではリーダーはまず自らのビジョンを確立することを勧めており、そのためには私は、コーチングを受けることがおそらくベストな方法だと思うからです。

リーダーがコーチングを使うのか、コーチングを受けるのか?

『ベストアンサー』と同じ時期にこの本が出たのは、何か象徴的だなあと感じます。

もともと、コーチングが日本に入ってきたのは、リーダーやマネージャーのスキルとしてでした。これまでの指示・命令スタイルではなく、部下自らに考えてもらうスタイルに移行するためのスキルとして入ってきたのです。

一方、アメリカなどでは、企業経営者や経営幹部のサポートとして、コーチをつけるという形、つまり「エグゼクティブ・コーチ」として普及していました。

日本は、コーチングを「使う」という形であったのに対し、アメリカではコーチングを「受ける」という形が主流だったわけです。おそらく、日米の経営スタイルの違いなどが影響したこともあるでしょう。

そして、最近この流れが曲がり角というか、変化が必要な時期にきていると思うのです。そして、その変化の方向を、本書と『ベストアンサー』が示していると思います。

それは具体的にはどんな方向かというと……

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| 宇都出雅巳 | コーチング | 01:29 | comments(0) | - |
ようやく出た、コーアクティブ・コーチングの一般向け解説書
 世の中にはいろいろな「コーチング」があふれていますが、私がここ9年近く学んで、伝えることもしてきたのは「コーアクティブ・コーチング」というものです。 

これはCTI(Coachi Training Institute)というアメリカにあるコーチ養成機関が提供しているもので、日本ではCTIジャパンが提供しています。

この「コーアクティブ・コーチング」。USを中心にもっともメジャーのコーチングであり、日本でもおそらく数千人の受講生がいますが、あまり知名度はありませんでした。その1つの原因は、コーアクティブ・コーチングの本はこれまで1冊しかでてなかったこと。 

『コーチング・バイブル』(東洋経済新報社)という翻訳本で、第2版は私も翻訳にたずさわりましたが、これ1冊だけだったのです。しかも、この本はなかなか歯ごたえのある本なので、一般の人がすぐに買うというものではありませんでした。

そんな中、ようやく、コーアクティブ・コーチングをベースにした2冊目の本が出ました。それが本書なのです。

コーアクティブ・コーチングをできるだけ日常の仕事の言葉、状況に置き換えつつ、コーチングをリーダーやマネジャーがどのように活用できるかを紹介しています。

読んでもらうと、この本はこれまでのリーダー、マネージャー向けに書かれたコーチング本とは大きく違うことに気付かれるでしょう。 そして、実はその違いは本のタイトルにも現れています。

お分かりになりますか?

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| 宇都出雅巳 | コーチング | 18:34 | comments(0) | - |
心理療法からコーチングを考える

 本書は今は亡き心理療法家・河合隼雄さんが1992年に出版したものです。

河合さんはユング派の分析家としてのユング心理学の紹介や実践だけでなく、日本に心理療法やカウンセリングを一般化、定着させることに大きな役割を果たされました。その河合さんが、「心理療法とは何か?」という本質的な問いにかかわる考えに焦点をおいて書いたのが本書です。
目次を見ると、幅広い視点から「心理療法」に迫っていることがわかります。

第1章 心理療法とは何か?
第2章 心理療法と現実
第3章 心理療法の科学性
第4章 心理療法の教育
第5章 心理療法と宗教
第6章 心理療法における文化・社会的要因
第7章 心理療法における技法
第8章 心理療法の初期
第9章 心理療法の諸問題
第10章  心理療法の終結
第11章  心理療法家の訓練

そして、この目次の「心理療法」を「コーチング」と置き換えてみると、コーチングにかかわっている人にとって、とても興味のある、関心が高いトピックであることに気づかれるのではないでしょうか?

心理療法、セラピー、そしてカウンセリングとコーチングの違いについては、よく質問されますし、その違いについてコーチとして理解し、クライアントに説明できることは必要です。ただ、その境界はきっちり引けるものでもなく、共通する部分はたくさんあります。コーチングは日本に入ってからたかだか10年あまりの歴史であり、先達である心理療法やカウンセリングから学ぶことはとても多いと思っています。

心理療法家、セラピスト、カウンセラーを名乗る人はもちろんですが、コーチの人にもぜひ読んでもらいたい一冊です。本書を読んでもらえれば、それまで心理療法やセラピーに対する思い込みが崩れて、結局、コーチングと目指すところや基本スタンスは同じであることがわかるでしょう。そして、自らのコーチングを振り返るきっかけになるでしょう。

河合さんは、心理療法とは何かを考えるための出発点として、次のような言葉で心理療法を表現しています。

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| 宇都出雅巳 | コーチング | 12:18 | comments(0) | - |
かゆいところにまで手が届く人材開発のすぐれ本
 「人材開発に関する実践的なテキスト」

著者はこういう本がないのに気付き、それを目指して書いたと「はじめに」で述べています。

読んでみて、まさにそのとおりの素晴らしい本でした。

人材開発にかかわる理論と実践の両方にまたがり、非常に整理された形でまとめられています。

実践に関しては著者も断っていますが、「研修」に重点をおいた内容であり、人材開発でも特に研修にかかわる人にはドンピシャであり、また、研修講師や企業に対するコーチングを行っている人には、より広い視野で研修やコーチングを見直し、取り組めるでしょう。

人材開発のベースとなっている「学習理論」や人材開発の対象である「能力」、さらには研修講師の「スタイル」まで、体系的に紹介しています。そして、論理というか左脳ガチガチではなく、なかなか言葉になりにくい部分にも目を配り、とてもバランスのとれた内容です。

さらに、最後に補遺として書かれている「場としての組織」も「場」というなんとも表現しにくい考えを、コンパクトに説明しています

いくつか、自分が「なるほど」と思った内容を書いておきます。
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| 宇都出雅巳 | コーチング | 21:16 | comments(0) | - |
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