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宇都出ブックセンター本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
2012.05.15 Tuesday
『僕とツンデレとハイデガー』−−世界に確実なものはあるのか?
先月行った勉強会・宇都出カフェの参加者のお一人から教えてもらった一冊です。 ちょっと手に取るのが恥ずかしくなるような、アニメキャラの女の子が表紙です。 8人の哲学者(デカルト・スピノザ・バークリ・ヒューム・カント・ヘーゲル・ニーチェ・ハイデガー)の思想を、その化身である8人の女の子が紹介してくれるという小説仕立ての解説書です。 『もしドラ』のように、ところどころに、女の子のイラストも入り、いわゆる「萌え」的要素も入って、硬く・難しい話を興味深く読めるような舞台設定になっています。 ただ、取り扱っているテーマは骨太です。 「世界に確実なものはあるのか。あるとしたら人は、その確実なものを手に入れられるのか」という疑問。 だれもがいつかは突き当たる疑問でしょう。 もし気づいていなくても、どこかでこの疑問から逃れるために生きているかもしれません。 話のクライマックスは、もちろん、タイトルにも入り、8人の哲学者の最後を締めくくるハイデガー。 その著書『存在と時間』をところどころ引用しながら、まさに人間の存在そのものに迫っていきます。(ちなみに、小説の中ではハイデガーの化身・春出川千夏という女の子と主人公のフォークダンスをしながらの会話で語られます) そこで最後に示されるのは…… 2012.04.18 Wednesday
『構造構成主義とは何か?』−『人を助けるすんごい仕組み』の基本原理
JUGEMテーマ:読書
本書は、被災地への支援プロジェクトの立ち上げからその経過を描き、話題を読んでいる『人を助けるすんごい仕組み』の著者が7年前に書いた本です。 タイトルのとおり、「構造構成主義」という考えについて解説しています。 その目的は「信念対立の超克」。 本書は、人間科学の信念対立を超克し、建設的基盤を提供するための「理路」を提供することを目的としている。 家族間、友人間、そして会社でも、そして社会でも、意見の対立は必ず起こります。 「自分が正しい」「そっちが間違っている」 ただただ、自分の主張をぶつけ合うだけで、疲れてしまう。 そんなことは、日常生活の中、会社の会議の中、そして、新聞やテレビでの討論でもよく起こります。 そんな対立を超えて、建設的になるにはどうしたらいいのか? そんなヒント、基盤が本書には数多くあります。 著者の言う「構造構成主義」を支えているのは3つ。 2012.01.26 Thursday
「依存する相手が増えるとき、人はより自立する」(『生きる技法』 安冨歩著)
JUGEMテーマ:読書
もう5年近く前になりますが、かなりの衝撃というか「腹落ち感」のあった本があります。 自分の出しているメルマガでも4年前に出版された『生きるための経済学』(NHK出版) → 「心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず」 『原発危機と「東大話法」』(明石書店) さっそく買って読みましたが、その際に見つけたのが『生きる技法』です。 取り上げられているテーマは8つ。 自立・友だち・愛・貨幣・自由・夢の実現・自己嫌悪・成長
まだ消化できていませんが、最初のテーマ「自立」の内容とそこから思い出したことなどを書いてみます。 2011.11.16 Wednesday
瞬間を生きる哲学−−<今ここ>に佇む技法
プロローグ 瞬間という聖地」の冒頭で、著者は「この本で明らかにしたいこと」として次のように述べています。 いまこの瞬間のなかにすべてがある。少なくとも、大切なものは全部でそろっている。 そして、続けて、本書の内容について次のように書いています。 いかがわしい。調子よすぎる。そう。いまは思われるかもしれません。ですが以下、この本をお読みいただけば、どなたも納得できる簡素な事実を、のべているまでのことです。 まさにここに書かれているように、本書は、瞬間についていろいろな角度から、そしていろいろな素材を用いて光を当てていきます。 2011.02.17 Thursday
人間の生きる営みはすべて「身体と環境の相互作用」である
取り上げら得ているのは、ベイトソン、メルロ=ポンティ、サルトル、フッサール、ヴァレラ、ポパーをはじめとする10人。 とても刺激的で、「コーチング身体論」なんていうのも考えたくなりました。 まだ消化しきれておらず、先日、メルマガで本書を、そこからの引用でお茶を濁させてもらいます。 「情報はどこに存在するのか?」という問いを考えてきたときに、本書を読んでいて、そこから考えたことです。 (ここからメルマガの引用) 読んでいたのは、「認知運動療法」(ちなみに「認知行動療法」とは違うものです)という新たなリハビリの考えを広めている宮本省三さんの 『リハビリテーション身体論』(青土社)という本です。 この「認知運動療法」については、以前、聴き方のメルマガで紹介した ので、ご興味のある方はお読みください。 → http://www.utsude.com/mailmag_2/mm_2/mm2_115.htm さて、「情報はどこに存在するのか?」について、この本で書かれていたのが、 ● 情報は身体と環境との接点(中間)に存在する ● 読書のように視覚でとらえることをちょっと脇において、あなたが指や手で何かに触れることを考えれば、これは納得されるのではないでしょうか? あなたの身体が何かの物体に接触することによって、初めて感覚が生まれて、その感覚が情報となる。 これならば、 ● 情報は身体と環境との接点(中間)に存在する ● にもうなづけるのではないでしょうか? では、読書のときはどうでしょう? 読書に限らず、何か物を見るときはどうでしょう? ちょっと、そこで何が起きているのか、意識してみてください。 ● 情報は身体と環境との接点(中間)に存在する ● このことを感じられるかもしれません。 2010.03.30 Tuesday
<わたしはだれ?>という問いに答えはない
「わたしはだれ?」 胃の存在はふだんは意識しない。その存在は故障してはじめて意識する。同じように、「わたしはだれ?」という問いは、たぶん<わたし>の存在が衰弱したときにはじめてきわ立ってくる。ということは、ここで<わたし>の意味というより、<わたし>が衰弱しているという事実とその意味をこそ問うべきではないのだろうか。 こんな調子でじわじわと<わたし>に迫っていきます。 2010.02.28 Sunday
「あなた」の哲学
「あなた」 2007.06.26 Tuesday
なんともさわやかな対談です
君自身に還れ―知と信を巡る対話 池田 晶子,大峯 顯 とてもさわやかな読後感が残る対談でした。 内容はもちろんですが、大峯さんと池田さんのやりとりが、なんともさわやかで面白いんです。 池田さんは分かりやすい言葉で、しかも鋭く本質を突きながら独自の哲学本の領域を開いた人。その死後も人気は衰えていません。私も池田さんの対談ということに引かれて、本書を購入しました。正直言いまして、対談相手の大峯さんのことは何も知りませんでした。しかし、結果的に私が引かれたのはむしろ大峯さんのほうでした。 2005.12.30 Friday
哲学と自然科学の関連を軸に近代哲学を知る
対話・心の哲学―京都より愛をこめて 冨田 恭彦 ここ最近、脳の研究やそれに伴う「意識」の研究の本などをよく読む中で、哲学への関心がだんだんと高まってきています。とはいえ、哲学にはこれまでとんと馴染みがなく、哲学の本を読もうとしてもその難解さにお手上げ状態でした。そんななか、徐々に新書を中心に読み始めています。昔、新書といえば、岩波新書、中公新書、そして講談社現代新書ぐらいでしたが、いまではいろいろな会社が新書を出しており、哲学の解説書もたくさん出ています。 今回読んだ本書は、対話形式で進めている「読みやすそうな」哲学の解説書だったので、買ってみました。「読みやすそう」でも実際に読みやすいとは限りませんが、この本はほんと読みやすい本でした。 2004.09.10 Friday
人間性とは作られたもの、主体性とは気が短いこと
「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 仲正 昌樹 「「自由な人間としての主体性」なるものが、各人の内に「自然=自発的に」生じてくるという西欧近代を支えてきた「神話」内在する矛盾」。 著者は「自由」「主体性」、さらには「人間性」という、なんだかわかった気になっているもの、自然にあると思っているものにメスを入れていきます。 「主体性」といわれるのは、実は「気短さ」に対して、それが他者からの介入を受けていないように見えるのでつけられた名称かもしれない。。。 なんていわれると、自分というものが混乱してきます。 |
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