宇都出ブックセンター

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手ごわい問題は、対話で解決する
アダム・カヘン,Adam Kahane
ヒューマンバリュー
¥ 1,680
(2008-10-03)
JUGEMテーマ:読書


本書で取り上げられている事例はすべて著者自身が体験したもの。

南アフリカ、コロンビア、パラグアイ、カナダ、バスク地方など、根深い対立があるところで、著者がファシリテーターとして対話を促す、対話が生まれる場を創ることにたずさわった話が紹介されています。

なので、とても生き生きとして説得力があります。

そして、著者自身が体験から学び、かつ実践しているのが対話。といっても難しいことではありません。オープンに話し、そしてオープンに聴くというだけです。そこには、日本でも今流行りの心理テクニックを使った話し方や聴き方などはいっさいありません。ただ、率直に話し、心から聴くということなのです。

それってどういうことなの? と思う人のために、著者が提示している10の提言を紹介しましょう。
1:あなたの状態や、あなたがどう話し、どう聴いているのかに注意を向ける。自分独自の前提、反応、習癖、懸念、先入観、そして想定していることに気づく。

2:率直に話す。あなたの考えていること、感じていること、望んでいることに気づき、それを言う。

3:あなたは真実について何も知らないということを覚えておく。現状について理解していると確信をもっているときでも、「私の意見では」という一言を付け足す。自分をあまり過信しないこと。

4:そのシステムの関係者たちとかかわり合い、話を聴く。あなたとは異なり、ときには反対の見解を持つ人を探す。心地良いと感じる状態を超えて自分の幅を広げる。

5:システムの中であなたが果たしている役割を振り返る。あなたがしていること。あるいはしていないことが、現在の状態にどう影響しているかを検討する

6:共感をもって聴く。他者の目線で、システムを見る。相手の身になって考えてみる。

7:自分の話していることや他者が話していることを聴くだけでなく、全体で何が話されているかに耳を傾ける。一人ひとりの意見ではなくシステム全体で何が浮かび上がってきているのかを聴く。心の底から聴くこと。心で話すこと。

8:話すのをやめる。質問の横でキャンプする(質問から一歩下がる)ことで、答えが現れるのを待つ。

9:リラックスし、完全にありのままを受け入れる。思考と心と意思をオープンにする。心が動かされ、変わることができるよう、自分自身をオープンにする。

10:これらの提言を試し、何が起こるかに気づく。他の人々との関係や、あなた自身との関係、そして世界との関係において何が変わるかを感じ取る。そしてそれをやり続ける。

いかがでしょう? この10の提言は本当にすばらしいものだと思います。私がここ7年学んできたコーアクティブ・コーチング、コーアクティブ・リーダーシップの大事なところがすべて盛り込まれているように思います。

この提言がよくあるテクニックと違うのは、最初と最後の提言を読んでわかると思います。どう話すかどう聴くかではなく、どう話すかどう聴くかに気づいていること。

これはコーアクティブ・コーチングでいうListening(傾聴)にかかわることですが、自分がどんな聴き方で聴いているかに気づくということが、どんな聴き方で聴くかよりも実は大事なのです。

私が『絶妙な聞き方の技術』で伝えたかったのもそのことです。「意識の矢印を自分ではなく相手に向ける」「事柄ではなく人に焦点を当てる」という聴き方にしましょうと勧めているのではありません。意識の矢印が自分に向いているのか相手に向いているのか、焦点が事柄に当たっているのか人に当たっているのか、それに気づいて自ら選択していきましょうということです。

そして最後の10番目の提言は、提言全体を包み込み、さらにその上のレベルにたつことを可能にさせるものです。提言を実行することだけではなく、提言を実行する、もしくは実行しないことで何が起こるかに気づくことが大事なのです。

これはコーアクティブ・コーチングでいうと「Dance in the moment」(クライアントとともにその瞬間瞬間から創りだす)を思い出させます。何か決まった手順ややり方があるわけではなく、そこで起きたことに気づき、そこから作り出していくこと。それがないと、どんなにすぐれた技術・手順も型にはまって、状況・相手に対応できないものになっていきます。

直球ど真ん中の本です。

最後に聴き方のところで、なるほどなあと、思ったところをもう少し引用しておきます。先ほど紹介した第一の提言にかかわるところですが、さらにもう一歩突っ込んだところです。私の聴き方の本ではカバーしきれていないところです。リーダーシップにかかわる部分ともいえるでしょう。
新しい現実を創造するためには、私たちは内省的に聴く必要があります。他の人々の意見を単に聞くだけでは不十分なのです。私たちは、自分自身の意見がどう影響を与えているのかに耳を傾けなければなりません。また、今起こっている状況の中で他の人々が何をしたいるかを見るだけでは不十分であり、私たち自身が何をしているのかを見る必要があります。問題のある状況を観察するだけでは十分ではなく、その結果に影響を与えている主体者として、自分自身を認識する必要があるのです。


この本でも聴くことの重要性が強調されていますが、聴き方がじわじわと世の中で注目され、常識となっているように思います。うれしいですね。




| 宇都出雅巳 | 聴き方 | 00:14 | comments(6) | - |
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>作家様にご返信いただけるとは、なんだか信じられないです。

 「作家様」と言われると気恥ずかしいですが、喜んでいただいてこちらこそうれしいです。

 私はもちろんですが、本を書いている多くの人が読者からの反応やコンタクトを喜ぶと思いますよ。

 『スピード読書術』にも書きましたが、『脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説』(http://utsude.jugem.cc/?eid=25)という本を読んで感動し、その著者である前野隆司さんにメールしました。それがきっかけで、慶応大学の研究室にもお邪魔して直接お話を聞かせてもらったり、講演会を開催したりしました。

 また、私が大きな影響を受けた・受けている『物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ』(http://utsude.jugem.cc/?eid=5)の著者である野口裕二さんには、私のコーチ仲間が野口さんの大学の院生であることが偶然わかり、頼み込んで会わせてもらいました。それがきっかけで、野口さんを招いての勉強会を開催させてもらったり、親しくさせてもらうようになりました。

 もちろん、ご縁があったからではあり、誰とでもそうなれるわけではありませんが、ぜひぜひ、積極的に本の奥にある人とかかわってみてください。

 本を読むことは人を読むことなのですから。
| まさ | 2009/02/27 9:50 PM |
作家様にご返信いただけるとは、なんだか信じられないです。
大げさかもしれませんが、こういう書き込みをしたのも初めてでしたし、うれしいです。

参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
| | 2009/02/27 9:37 PM |
>速読勉強術で紹介されていた
裏写りしない水生のペンとは
何というものをお使いになっているのでしょうか?

返信が遅れてすいません。

私は三菱のプロッキーを使っています。
模造紙などに書くためのものだと思いますが、試験勉強のときなどはこれで書いていました。

ご参考までに。
| まさ | 2009/02/23 2:11 PM |
私もブログには関係ない質問をさせていただきます

速読勉強術で紹介されていた
裏写りしない水生のペンとは
何というものをお使いになっているのでしょうか?
| | 2009/01/12 1:39 PM |
darumaさん

『速読勉強術』に関する質問、拝見しました。遅くなりましたが、私の意見を書かせてもらいます。

過去問についてですが、確かに傾向が変わることがあるにしても、選択式の試験の場合はやはり優先順位は第一番で、まずはこれを徹底的に高速大量回転することです。 もちろん、いきなり全科目・何年分の過去問を高速大量回転はできませんから、範囲を絞りながら、徐々に雪だるま式に範囲を広げてください。このあたりは、本はもちろんのこと、メルマガのバックナンバーをよく読んでください。

もし、テキストを高速大量回転の対象とするか、迷っている場合でも、まずは過去問を今すぐ回転させてください。本にも書きましたように、うなりながら時間をかけて解く必要はありません。問題と解答を並べて読むだけでOKです。たとえ、2回転でも3回転でも、これをやっておくのとやらないtのとでは、テキストを高速大量回転をする際に、その効果が変わります。

さて、テキストを高速大量回転の対象とするかどうかですが、そのテキストの量・内容がわからないのでなんともいえませんが、もし迷っておられるのであれば、やはり過去問の高速大量回転に絞るのが賢明だと思います。

そして、余裕ができた時点でテキストを回転させていくことです。その時点でテキスト自体も高速大量回転できそうであれば、テキストも対象と加えたり、過去問とテキストを統合して高速大量回転すればいいと思います。

ただし、テキストの分量に圧倒されそうになったら、無理に回転させようとせず、高速大量回転の対象は過去問のままにして、過去問にテキストを読む中で不足していると感じた部分を書き込むという形のほうがいいと思います。

とにかく、高速大量回転の状態を保つことが大事です。本にも書いているように、そのことによってプラスの相乗効果が働きます。逆に低速少量回転になってしまうと、その逆の効果となり悲惨な結果になります。

くれぐれも、不安から範囲を広げすぎないようにしてください。

健闘をお祈りします。





| まさ | 2008/11/03 12:49 AM |
はじめまして。先生の[速読勉強術]読ませて頂きました。

私は来年3月に国家資格理学療法士を受ける専門学校四年生です。

試験は選択問題で択一、択二の問題で出来ています。この問題の場合先生は過去問の問題集を使うことを薦めていらっしゃいます。しかし今年行われた試験では今まで出てきたことのない問題、語句が増え(傾向の変化)合格率が昨年度よりも10%も下がってしまいました。学校でも国試対策として分野別になっている四冊のテキストを購入し、対策をすすめています。この場合はテキストを高速大量回転させて勉強をすすめればよいのでしょうか?ちなみに購入したテキストは今までの国試をもとに出題されたものをわかりやすくまとめてあります。また医療系の資格なため表や図もテキストには多く含まれています。

医療系のためこの後9、10月は病院での実習がありその後11月から卒研+国試対策という流れで学校は動いていく予定です。

以上のことから国試対策はテキストを中心にすすめてよいのでしょうか?ご教授お願いいたします。

ブログ内容と関係ないものですみません。
| daruma | 2008/10/24 9:18 PM |









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