宇都出ブックセンター

本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
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あなたは燃え上がるような激しい情熱を持っていますか?
ブックオフ 情熱のマネジメント
ブックオフ 情熱のマネジメント
グロービスMBA ブックオフ探検隊

「読み終わった本、お売りください」

「聴きあきたCD、お売りください」


こんなコピーで、書店・古書店業界に大きな変化を
もたらしたブックオフ。

本書は、この急成長を遂げた会社をの秘密を探り、
「情熱」を軸にその成長、およびマネジメントに迫った本です。

書いたのは、「MBA」という言葉を世間に大きく広めた
教育機関であるグロービスで学ぶ学生たち。

ただ、学生といっても、そのほとんどが働きながら
グロービスで学ぶ社会人です。

彼らが研究課題としてブックオフを選び、そこからブックオフの
探検が始まりました。


私は、探検隊の一人、ジョージこと阿部雅行さんと知り合う機会があり、
本書をいただきました。 正直言いますと、あまり最初は読む気がしま
せんでした。というのも。。。。。。。




「ブックオフ」

あなたはどんなイメージをお持ちでしょうか?


異様に明るい照明。

清水国明が語るわざとらしい店内放送。

妙に元気な店員。


私が持っていたイメージはこんなところです。

読んでお分かりのとおり、あまりプラスのイメージでは
ありませんでした。

とはいえ、ブックオフがある五反田、中目黒に行く用事があると、
ついつい、寄って、10冊ほどは本を買うのが常です。

とにかく、並んでいる本の数が半端でありません。
普通の書店では二度と見かけることのない、昔懐かしいビジネス書
と出会えるのも楽しみです。

そして、探しやすい分類。
文庫は著者名でしっかりと分類され、私の好きな山本周五郎、
隆慶一郎などの作家の在庫もすぐチェックできます。

最後に、その安さ。
新書の品揃えは多くないんですが、100円コーナーで最近の
新書を見つけるのは、かなりお得感があります。


本の内容とはかなり脱線しましたが、私にとってブックオフは、
よく利用するけれども、取っ付きにくい店でした。


この本を読んで、あの明るい店、元気な店員、豊富な品揃えの裏側には
こんなドラマがあったのか、と思わずうーーんと読み込んでしまいました。


本書は、ベンチャー企業の経営を、ビジネススクールの学生が訳知り顔で
きれいに整理し、分析した本ではありません。最後のほうに、そういった
分析もしていますが、ほとんどが、臨場感あふれる「物語」です。


それを可能にしたのは、ブックオフの坂本社長はじめ経営陣と、グロービ
スのブックオフ探検隊の「情熱」関係にあります。

本のなかで、ブックオフ探検隊が坂本社長からこんなことを言われる場面
が描かれています。

「あれこれ外野からモノを言うだけのブックオフ探検隊なんていらねえよ!」


グロービス探検隊のほとんどは大企業のホワイトカラー。

片やブックオフは、ベンチャー企業で現場重視の経営。

すれ違うのも当然といえば当然でした。

この坂本社長の発言は結果的に、その壁を取っ払う契機になりました。
ブックオフとグロービス探検隊はさらに緊密になっていきました。

そして、その中で、「情熱」のマネジメントというものがくっきりと
見えてきたのです。


本書ではまるでNHKの「プロジェクトX」のような、苦労話がこれでも
かこれでもか、と出てきます。読むだけで元気になってきます。

そして、坂本社長の経営理念、経営手法が、影響を受けた次のような経営者
とともに簡潔に紹介されています。

イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏

京セラの稲盛和夫氏

リクルートの江副浩正氏


本書は「起業とは何か?」「マネジメントとは何か?」
さらには、「ビジネスとは何か?」という根本的な問い
まで、問い掛けてきます。

エピローグで、ブックオフ探検隊隊長の鈴木雅晴さんは、
15世紀に親鸞の浄土真宗を一気に拡大し、本願寺集団を整備した
蓮如を紹介して、ブックオフ、坂本社長の生きかたを解説しています。

「お蔭様」の精神

これが日本人のこころの原点であり、ビジネスの原点であると結んでいます。


アメリカ、そして中国の狭間で、これからどうなっていくのかが見えない
日本、そして日本のビジネス。

将来への希望をもう一度思い出し、情熱に火をつけてくれる1冊です。


追伸

ブックオフではよく買う私ですが、売ったことは一度もありません。
私は本にガンガンとやたらめたら書く人間なので、ブックオフでは
売れないんです。

この本も、線を引っ張ったり、かなり書き込んだので売れないですね。

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