宇都出ブックセンター

本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
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記憶は忘れるためにある
 この本は記憶術の本のように、記憶力をよくしようという本でありません。

「記憶力は悪いほどいいのだ」

と断言する著者が、
ああ、記憶力が悪くて良かった。それに、これからもっともっと記憶力が衰えていくとは、何て幸せなんだ! 皆さんにもこんな感じを実感してもらえればと願う。
そんな気持ちで書いた本だそうです。なぜ、そんなことがいえるのかというと、記憶からの自由が幸福につながると考えているからです。
長く持続し最も幸福感の高い幸福は、過去への執着である「記憶」と、未来への執着である「欲求」という二方向の束縛から超越した時に得られる至福なのだ。
「そんな宗教くさい話ですか。。。」と思われる人がいるかもしれませんが、本書の特徴はそれだけではありません。

著者の専門はロボティクス(ロボットをどう作るかの学問)で、その知見から「フィードバック制御」「フィードフォワード制御」という二つのモデルと「記憶」を絡めて、記憶の役割を位置づけているところが大きな特徴であり、類書にないものです。
人生には、記憶力をフル活動させて苦労しながら色々なことを学習していく前半のフィードバック的フェーズと、記憶力よりも体験と言うか、知恵と言うか、思考力を大切にして豊かに生きる後半のフィードフォワード的フェーズがあると考えられる。
「フィードバック」はなんとなくイメージがつくとしても、「フィードフォワード」はピンとこなくて、「何のこっちゃ?」と思われる人も多いでしょう。私もうまく説明できないので、本書、もしくは著者の別の著書・『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)を読んでください。

ただ、「記憶」ということについての著者の視点が面白く、ここからもヒントが得られると思うので、著者の視点を二つご紹介しておきましょう。
 一つは「記憶は忘れるためにある」
「記憶を忘れる」ことのできる自分を創るための途中段階として、「学習」するために「記憶」があると考えるのだ。
もう一つは「記憶は無意識化のためにある」
無意識化という言葉は一般的でないかもしれないが、「意識せずに(フィードフォワード的に)ものごとを行えるようになること」と言えばご理解いただけるだろう。
これまで「記憶」といえば、文字どおり「記憶」していなければならない、「記憶」していなければ役に立たないと思われていたかもしれませんが、このように、「記憶」を結果としてとらえるのではなく、一つの手段、プロセスととらえると、これまで「記憶」にこだわったり、記憶力のなさをなげいたりしたことが、実はあまり意味がなかったことに気づくでしょう。

私は試験勉強をはじめ、さまざまな勉強においても、これらの視点はとても大事なように思っています。

試験勉強において「記憶」というと、試験で勉強したことが思い出せるようにということで、みんな「記憶」しようと勉強しています。

しかし、私は「勉強して記憶する」のではなく、「記憶して勉強する」という視点の転換が、とても大事なだと考えています。これは、本書の「記憶」に対するとらえかたと共通しています。(詳しくは2010年出版予定の『記憶勉強術』(仮題)をごらんください)。

「勉強」するために「記憶」があるのです。

このように記憶についての新たな視点を与えてくれる本です。
| 宇都出雅巳 | | 23:59 | comments(0) | - |
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