宇都出ブックセンター

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コーチはポジティブ病におかされていないか?
バーバラ・エーレンライク
河出書房新社
¥ 1,890
(2010-04-10)

 これは、「ポジティブ・シンキング」とその周辺を、徹底的に批判した本です。

その槍玉に挙げられているのは、日本でもベストセラーになった『ザ・シークレット』や『引き寄せの法則』などの自己啓発本、モチベーショナル・スピーカーと呼ばれるキリスト教の説教師や、アンソニー・ロビンスなどのトレーナー、マーティン・セリグマン博士を中心とするポジティブ心理学……

そして、コーチです。

本書ではコーチング、コーチという言葉が何度も何度も取り上げられ、まるで現代のポジティブ・シンキングの権化のように、批判の槍玉に挙げられています。

私はコーチの一人であり、コーチングを広めてきた人間なので、「アメリカではそんなに影響力のあるものになっているの」「そんなに悪い影響を与えているの……」となんとも微妙な気持ちになりました。

また、「コーチングはポジティブ・シンキングとは違うんだけどなあ……」と、著者の「ポジティブ・シンキング」の名のもとに一刀両断で批判していく姿勢に反発も感じました。

著者がポジティブ・シンキングの代わりに大事だと考えているのは、物事を「ありのまま」に見ることなのですが、私としてはコーチングはまさにそのことを支援していると思っているからです。

と書きながらも、知らず知らずのうちに、ポジティブ・シンキングのワナというか、ポジティブ病におかされてもいるなかあとも思います。

愚痴っぽくなることはダメなことだといいづらくなったり、ネガティブなことは思ってもあまり言いにくくなっていたり……。
 (急に振りますが、)あなたもそんなことはないですか?

「引き寄せの法則」にしても、「なんだかなあ」と思いつつも、どこかで「そんなこともあるかも」と受け入れている自分もいます。

そういえば、このブログでも、「引き寄せの法則」にコーアクティブ・コーチングを絡めて書いたこともありました。→ http://utsude.jugem.cc/?eid=114#sequel

また、ポジティブ・シンキングをはじめ自己啓発分野が、出版、セミナー、CD/DVD販売という形でどんどんとビジネス化していることも書かれていますが、日本でも全く同じことが起こっていて、それには自分も「ちょっとやりすぎじゃないの?」と思っているので、同感できるところもあります。

第4章「企業のためのモチベーション事業」では、アウトワード・バウンドなどのチームビルディング(チーム作り)のトレーニング・研修も槍玉に挙げられています。チームや組織を第一に考えさせて、不平や批判をしない「ポジティブな人」を育成しているというのです。

そこまで言うことないんじゃないの? なんても思いますが、ポジティブ・シンキングはもちろん、チーム・ビルディングにしろ、コーチングにしろ、必ず何らかの「主流派」をつくり、「傍流派」を排除するのは避けられないの、常に自分自身が行っていることのインパクトを素直に見つめることは必要ですね。

以前、カウンセリングなど批判する心を商品化する社会―「心のケア」の危うさを問う
という本をこのブログでも取り上げたことがありましたが、自分自身をあらためて振り返るためにも、こういった批判の本を読むのはいいことでしょう。

この本の原題は「Bright - sided -- How the Relentless Promotion of Positive Thinking Has Undermined America」。直訳すれば「明るい側面−−ポジティブシンキングの容赦ない推進が、アメリカをだめにした」。

第7章ではリーマン・ブラザーズの社長を例に挙げたりしながら、「ポジティブ・シンキングは経済を破壊した」とまで書いているので、本書はタイトルどおりの内容なんですが、ここまでポジティブ・シンキング(およびその周辺)に罪をかぶせるのもなんだかなあと思います。まあ、そこまで、ポジティブ・シンキングというか明るい側面ばかりに焦点があたり、肥大化しすぎたのかもしれませんが。。。

「Bright-sided」というタイトルから、「Keep on the sunny side」というアメリカの古い歌を思い出しました。

カーターファミリーというバンドが歌って有名になった歌で、日本では、高石ともやとザ・ナターシャセブンが「陽気にいこう」というタイトルで歌っていました。

日本語の訳詩ですが、こんな歌詞でした。


 喜びの朝もある 涙の夜もある

 長い人生なら さあ陽気にいこう

 陽気にいこう どんなときでも

 陽気にいこう

 苦しいことはわかっているのさ

 さあ陽気にいこう      


カーターファミリーがこの歌を歌ったのは、1920年代、大恐慌の前後の時期だったと思います。
陽気にいこうと歌いたくなるのもわかります。

ポジティブだけでもなく、ネガティブだけでもなく、人生のさまざまな面を受け入れながら生きて生きたいものです。
| 宇都出雅巳 | コーチング | 11:19 | comments(2) | trackbacks(0) |
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赤木さん

コメントありがとうございます。(なんとも遅いレスですいません)

本をわかりやすく書こうとすると、いろいろなタイプのコーチをみるというより、自分の書きやすいタイプのコーチだけを選んで書くのが楽ですからね。

引き寄せの法則かもしれませんし、都合のいいものしか見えなかったのかもしれません。

まさ
| masa | 2010/10/19 8:52 PM |
アンソニー・ロビンズがコーチと名乗っているから、その流れで叩かれているのかもしれないですね。他にも色んなタイプのコーチがアメリカにはもっともっといるのに、一般化している時点で、よく分からずにコーチを叩いてると思いました。

まあ、きっとこの著者に引き寄せの法則が働いて、ポジティブなイケイケのコーチばかりと出会うようになっていたんでしょう(笑)
| 赤木 | 2010/09/05 11:08 AM |









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