宇都出ブックセンター

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日本経済を復活させる方法は、「おカネの供給を増やすこと」
 デフレ、不景気。

日々、新聞やテレビの話題になっています。

どうすれば、もっと景気がよくなるのか? デフレが解決(つまりインフレ)になるのか?

そもそも、景気がいいとはどういうことか? デフレとは何なのか?

いちおう、大学は経済学部出身の私ですが、あまり興味がありませんでした。


ここ3年、”子育て引きこもり状態”で、仕事は本の執筆や電話・スカイプでのコーチングなど自宅や自宅周りで行える仕事が中心。 家族と朝・昼・晩の3食をほとんど一緒に食べるといった毎日です。

関心が極度に内向きというか狭いところにいっています。

また、コーチングは、クライアントの”人生”に焦点を向け、しかも、あれこれ、いろいろな環境はさておき、「で、あなたはどうしたいの? どうするの?」というところに入っていくので、世の中の経済状況については、他人事とはいいませんが、遠い存在でした。

どちらかというと、昨年、さかんにこのブログで広井良典さんの一連の「定常型社会」に関する著作を紹介しましたが、このゼロ成長という状況の中で、さてどうするかという方向に関心が向いていました。(http://utsude.jugem.cc/?eid=125

「成長っていっても、それって幸せと結びつくの?」

「成長、成長って、ほんとに必要なの?」

というように、漠然とした疑問を持っていたように思います。

ただ、昨年から今年にかけてベストセラーとなっている『デフレの正体』を読むことがきっかけで、少し、経済に関心が向き始めました。 経済学部を出て、しかも経済出版社にも勤めたことがありながら、ちゃんと経済学を理解していないことに、われながらショックを受けたことが要因でしょうか。

(ちなみに、『デフレの正体』を読んだきっかけは、著者の藻谷浩介さんが、大学のクラブ(自転車部旅行班なる)の2年上の畏敬の先輩だったことです。)

ということで、本書です。

みなさんご存知の勝間さん、若手(1975年生まれ)の経済学者飯田さん、そいてテレビでもおなじみの評論家・宮崎さんの対談です。

タイトルの答えにもなる、本書の結論というか、言いたい事は、

 政府と日銀はおカネの供給を増やしましょう!

です。

週刊誌?的な日銀批判あり、経済学的な解説もあり、でなかなか面白い本でした。

面白かったところ、経済学的知識でそうなんだと思ったところなど書いておきます。

 まずは、「定常型社会」への批判から。

 「成長はいらない」というような人に対して批判しています。私も、なんとなくそう思っていたので、ズキリとしました。
飯田 そうした定常型社会論というのは、放っておいてもある程度は生産効率が上がるということを完全に見落としているんですよね。効率が2%上昇して経済成長がゼロなら2%失業が増加する。この2%失業をどうするのかという提案なしの定常型社会論は寝言です。そして、社会保障システムを維持するための財源を提示しない定常型社会論もまた戯れ言に過ぎないでしょう。
でもどうなんでしょう? 効率が上昇して、経済成長がゼロでも失業率が増えない工夫はできないのでしょうか? 労働時間を減らして自由時間を増やす選択もあるでしょうし……

勝間さんをはじめ、非常に論理的に話を進めているように見えるのですが、そこにある前提自体を疑う姿勢はあまり見られない気がします。(だれもが自らの持つ前提を完全には疑いきることはできませんが)。

論理的であり、かつ、中途半端に論理的でない(というか、どこかで割り切っている)からこそ、「日本経済復活一番かんたんな方法」というように、言い切れるのでしょう。

もちろん、こうやって言い切ることも大事ですし、それ自体は批判するわけではないのですが。

そうそうと確認したことをいくつか。

まず、GDPについて。
ここで50万円の原材料から作ったものが「いくらで売れるか」によって付加価値は変わってくることに注目してください。同じ原材料を使って他のパン屋にまねのできない魅力的でおいしいパンを作ることができたならば(より高い値段で売ることができるため)付加価値は大きくなります。GDPを量的な指標だと勘違いしている人がいますが、付加価値計算の過程で質を含んでいる点に注意してください。
自分もGDP=量的指標と思い込んでいた部分があったので、「質を含んでいる」と主張は新鮮でした。

ただ、「いくらで売れるか」=質といえるのかどうか。 確かに引用した文章に挙げられているように、本当に質の高いものを作ることで高く売れれば、そういえますが、高く売る=質が高いといえないと思います。

まあ、質というものは定義できるものではないですし、結局は質を判断することに、高くても買う=質が高いということを前提にするしかないのでしょうが。。。

極論を言えば、高く吹っかけて買わせる会社や人が、付加価値を高くしているということになってしまいますから。

最近は、マーケティングがどんどんと浸透してきて、さまざまな工夫で高く買わせることが行われていますから、それが付加価値を高めているといえるのかどうなのか、あまり納得できないところです。やっぱり、GDPは質的というより、量的な指標なのではないでしょうか。

先ほどの「定常型社会論」も含め、「成長はいらない」という人は、こんな「高く売る」=「付加価値が高い」というような前提に対して、疑問を呈しているように思います。

いちいちコメントすると長くなりますね。

次に、「GDPギャップ」。GDPギャップとは、「潜在的なGDPー現実のGDP」のこと。じゃあ、潜在GDPって何かというと、資本や労働力を最大限発揮したときに達成できるGDPです。

今の日本は、このGDPギャップが大きい状態、つまり潜在能力が発揮されていない状態といえるそうです。だから、需要を高める政策をとりさえすれば、正確にいうと、おカネではなくモノやサービスに対する需要を高める政策をとりさえすれば、GDPは増える、つまり成長するということです。

そして、おカネに対する需要(将来に備えて貯金するなど)を下げるために、おカネの供給を増やす、そうすれば、おカネに対する需要が減って、それがモノ・サービスに向かうというのが、本書の主張になります。

「おカネに対する需要」というとピンと来ないかもしれませんが……。 本書やケインズ経済学の入門書など読んでみてください。

あと、「おカネの供給を増やせ」というと出てくるインフレ危険論に対する反論がかなりあります。

あらためて、本書の主張に対する反論も含め、さらに読んでいきたいと思いました。

それにしても、こういう批判の書というか論争の書というのは、かなり揚げ足とりというか、先ほど挙げたような自分の持っている前提を疑わずすすめるところがありますね。

私自身も批判好きで、こうやって書いているこの記事自体にもさまざまな自分の気づかない前提、思い込みがあると思いますが。

たとえば、本書の次の内容を読んで、あなたは「そうそう」とうなづけますか?

宮崎 これもまとめとして、もう一度訊きます。「先進諸国はすでにモノが行きわたって、すでに消費が飽和してしまった。技術開発の進度にも限界があるから、生活体験や利便性の体系を一変させるような新機軸が陸続と登場するわけでもない。商品パラダイムの転換はなかなか起こらない。そういう体制の下でデフレが恒常化するのは当然であって、金融政策はアドホック(一時的)な痛み止め以上の効果は期待kできない」という批判についてどう答える?

勝間 それは簡単に答えられますね。「じゃあ、あなたは明日から何も買わずに暮らすんですか」と(笑)。

飯田
 シンプルで見事な返しだと思います。付け加えるとすれば、消費飽和論を唱える人は、経済成長のイメージを、みんながおにぎりを1日5個食べているところを1日10個食べられるようになることだと思っているようです。でもそれは誤解です。そうではなくて、健康食品を食べるようになるとか、契約農家が作った最高級コシヒカリを食べるようになるとか、そうした量ではなく質的な変化を想定しなくてはいけない。

勝間 物が行きわたっても、付加価値を求めるということですね。故障しているわkではないけれど、数年おきに車やパソコンを買い換えたり、毎年服を買い換えたりするように。

飯田 人はおカネに余裕があって生活に不安がなかったら、いい服を着たいし、ご飯だっておいしいものを食べたい、となるんですよね。

宮崎 「勝間・香山論争」における齟齬はこの辺にもありますね。香山さんは「血のにじむような努力をしなくてもコンビニ弁当で十分幸せです」と言い切る。でも、コンビニエンスストアという先端的な流通形態を支えているのは、利潤動機を原動力とした数多くの人たちのそれこそ「血のにじむような」創意と努力でしょう。香山さんの「幸せ」はそういうインフラの上の成立している。
さて、あなたはどう思いますか? 「そうそう」とうなづけますか?

私は、勝間さんが「簡単に答えられますね」という答えは、あまりにも簡単すぎるというか、極端すぎる答えだし、(笑)というのはかなり失礼だと思います。

また、飯田さんやそれに続く勝間さんの答えにある、「質」というのは、かなり???マークです。

健康食品を食べるようになることが、質的な変化というのか? 逆に質の低下のようなイメージがすするのは、私の健康食品に対する偏見でしょうか? 
(うーん。そうかもしれません。かなり、健康食品に対しては、ネガティブな思い込みを自分は持っていることに気づきました)

故障しているわけでもないのに買い換えるというのは、あまりにももったいないというか、これも質的な向上とは私にはとうてい思えません。逆に買い換えたくなるというのは、質が低下しているともいえるような。。。

彼らが批判する「反成長」の人たちは、こういった彼らの考え方自体に対して異論を持っているわけで、そこはかみ合わないですね。

また、最後の宮崎さんの発言も、「コンビニ弁当」というところでの揚げ足とりのようにしか思えません。。。

なんだか、最後はいちゃもんをつける紹介となってしまいました。。。

それにしても、人は自分の持っている視点や思い込みにはなかなか気がつけないものですね。

だからこそ、コーチングが必要だ! なんて、手前味噌的に思ってしまいました。


「おいしいものを食べるのではなく、おいしく食べる」


状況を変えるのではなく、自分を変える、視点を換える。 本書を読んでやはりこれもありだなあと、再確認しました。

ただ、おカネの供給を減らす・増やすができるのは、政府・日銀なので、一般人にはできないので、彼らの提言もぜひ試してみてもらいたいなあとも思いました。

| 宇都出雅巳 | ビジネス | 14:07 | comments(4) | trackbacks(0) |
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「グーパーすると車酔いしにくくなるよ」さん

>しかし、たとえば宝くじで50万円なり100万円が当たって、そのまま使わずに貯金するという人はかなりの金持ちでしょう。ほとんどの人はなんらかの買い物や贅沢をするはずですよねえ。

確かに。。 欲しいものがない……といって、お金を使わずに貯金するわけでもないように思います。

むしろ、あれこれモノ・サービスがあって、お金に余裕があれば買いたい、使いたいと思っている人がほとんどでしょうね。

人口減、そして(お金をあまり使わない?)高齢者増で、全体の消費が減ることはあるでしょうが……

| まさ | 2011/03/30 11:34 PM |
返答ありがとうございます。
やっぱりそうですよね!
日本でデフレは仕方ない←今や特別欲しいもの(購入したいもの)がない(つまり、成長しない? 経済規模は大きくならない?)、という意見があります。しかし、たとえば宝くじで50万円なり100万円が当たって、そのまま使わずに貯金するという人はかなりの金持ちでしょう。ほとんどの人はなんらかの買い物や贅沢をするはずですよねえ。
| グーパーすると車酔いしにくくなるよ | 2011/03/19 12:39 PM |
「グーパーすると車酔いしにくくなるよ」さん

コメントありがとうございます。

確かに、コンビニ弁当を毎日食べていたら早死にするでしょうね。

先日、うちの息子が急遽入院することになって、病院の中にあるコンビニの弁当を食べたんですが、1日目はおいしく食べらたんですが、二日目からはもういけませんでした。。。

シンプルなおにぎりさえも、受け付けなかったですね。

それからは、きつくても家でご飯を炊いて、おにぎり持参にしました。

確かに、香山さんの「コンビニ弁当だけで十分幸せ」というのは現実的でないですね。

そこは揚げ足取りというより、突っ込みどころだと思います。


| 宇都出雅巳 | 2011/03/01 8:48 PM |
いやいや、毎日毎日コンビニ弁当を食べていたら早死にしちゃうよ(その前に病気になる?笑)。香山リカさんだって、いつもコンビニ弁当というわけじゃないだろうし……(これも揚げ足取りですか?苦笑)。
| グーパーすると車酔いしにくくなるよ | 2011/03/01 7:59 PM |









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