宇都出ブックセンター

本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
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読書は創造的プロセスです
 昨年ごろから、電子書籍が騒がれはじめ、「電子書籍か、紙の本か?」をめぐって議論も起きています。

ただ、今わたしたがちが読んでいる今の紙の本も、ものすごーーい歴史があるわけではありません。

さかのぼれば、「人が本」であった時代、つまり、文字がなく、口承で伝えられていた時代があり、さらには、手書きで写本を作っていた時代があり、巻物から冊子へと変化していき、そして、ご存知グーテンベルグの活版印刷をきっかけに、今、われわれが手にしているような紙の本ができてきているのです。

また、これだけだれでも本が読めるようになったのは、20世紀以降のことです。

もちろん、このような本の歴史とともに、「読書」というものも、さまざまな形に変化しています。

本書は、この壮大な「読書の歴史」をまとめたものです。

それは副題にあるように、読者の歴史でもあり、本の歴史でもあります。

本書を読むことで、それぞれが持っていた「読書とはこういうものだ」とう枠組みが崩れ、広がっていくでしょう。

そもそも、読書とは、「本から読者へと情報が伝わっていく」という一方通行のプロセスではありません。

本と読者の間で起こる「共鳴」であり、「協働作業」です。

たとえ情報としては同じ情報が書かれていたとしても、読者が誰か、その読者の状態、さらには本の形や読者を取り巻く環境で、「読書」は違ってきます。

それは一つのユニークな「読書体験」なのです。

本の紹介をしようと思いながら、自分の持論をまくし立ててしまっていますね(笑)。

まさに、これこそが「読書」ともいえるわけです。

さて、「読書とは何でしょう?」 「あなたにとって、どんな体験なのでしょう?」

本書からいくつか言葉や文章を引用していきます。

これらの言葉や文章を理解しようというよりも、それによって起こるあなたの反応を感じながら、あなたなりの「読書」を振り返ってみてください。
 「いったいどちらが師なのか? 著者か、それとも読者か?」

「読書とは、今まさに生まれ出づるものに近づくことにほかならない」

「読者はテクストを読みながら、自分の知識や経験した事柄の記憶とそこに書かれている文、段落、節などの結びつきを構築し、それによってテクストが表現しているものの意味を生み出しているということだ」

「読書とは、感光性の紙が光に反応するような形でテクストを自動的に認識していくようなものではなく、迷路のように入り組んだ複雑な過程、誰にでも共通したものでありながら、個人個人異なる過程を経て行われるものなのである」

「読者の役割とは(中略)「書いてあるものによって暗示された手がかかりあるいは陰影」を目に見えるようにすることにほかならないのである」


さて、いかがでしょう?

上に引用したものは、どれも「読者」というものの役割を強く押し出したものばかりです。

ただし、こんなふうに「読者」の役割を重んじた読書法、読書に対する考えというのは、比較的新しく、14世紀の人文学者・ペトラルカ以降のことだと、本書では書かれています。

このペトラルカの読書法というのは、
書物を思索の支柱にするのでもなく、また、賢者の言葉を信じるように書物の言葉を信じるというのでもない。書物から発想や表現、イメージを引き出し、これを、読者の記憶の中に保存されている全く別のテクストの優れたものと結びつけ、全体としてよく考え、吟味しながら、読者自身の新たなテクストというべきものを作り出すということなのである。
さて、あなたはどんな読書法、読書に対する考えをもって、読書しているでしょう? 

「速読」というのも、何か一つの技能のように思われたりしますが、そういう部分が少しはあるにせよ、単にそれは一つの読み方に過ぎないともいえると思っています。

私も読書法の本を出していますが、そんな読書法の本を読むよりも、本書のような読書について歴史的に見ることで、読書に対する思い込みが外れることのほうが、あなたの読書を変えるかもしれません。

読書とは創造的プロセスです。

ぜひ、あなたなりの読書を生み出し、それぞれの本とのユニークな読書体験を創りだしてみて下さい!

| 宇都出雅巳 | 速読 | 11:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
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