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宇都出ブックセンター本が大好きな宇都出雅巳(まさ)が、本の紹介をしています。
2011.11.16 Wednesday
瞬間を生きる哲学−−<今ここ>に佇む技法
プロローグ 瞬間という聖地」の冒頭で、著者は「この本で明らかにしたいこと」として次のように述べています。 いまこの瞬間のなかにすべてがある。少なくとも、大切なものは全部でそろっている。 そして、続けて、本書の内容について次のように書いています。 いかがわしい。調子よすぎる。そう。いまは思われるかもしれません。ですが以下、この本をお読みいただけば、どなたも納得できる簡素な事実を、のべているまでのことです。 まさにここに書かれているように、本書は、瞬間についていろいろな角度から、そしていろいろな素材を用いて光を当てていきます。 私はそうでしたが、なんだかこの本にとっつきにくい人は最後の「エピローグ ルーナの告白」から読むといいかもしれません。 私が本書の著者に引かれたのは、ハイデガーの哲学を説いた『ハイデガー 存在神秘の哲学』(講談社現代新書)でした。それは、「存在」なるものを流れるような展開と、しかも同時にドカーンとブロックで頭をなぐりつけるような衝撃を持って伝える本でした。 本書もどこか『存在神秘の哲学』のような流れと「ドカーン」を期待していたのかもしれません。でも、まったくその期待は裏切られ、真逆のような印象を受けました。それは「存在」と「瞬間(今ここ)」というテーマの違いから現れてくるものかもしれません。 なお、『存在神秘の哲学』のテーマは本書のエピローグに登場し、瞬間(今ここ)というテーマと交錯します。そして、丁寧にも次のような説明までが加えられています。 存在が無根拠だということは、《万物はいあさかも必然的な理由や目的もないのに在る》ということを意味する。つまり、「存在の根本偶然」を意味する。 この「存在」の不思議さ、「存在驚愕」についてもっと知りたい方は、『ハイデガー 存在神秘の哲学』を読んでみてください。 私が学び、実践している「コーアクティブ・コーチング」は生きる指針として「3つの指針」なるものがあります。 この世を去るときに見えるものはすべてがかけがえなく、愛おしく思えます。もしそんなふうに一瞬一瞬を感じながら生きられたら、毎日、そして人生はどうなるでしょう? 末期、死ぬときなんて言われてもピンとこない人は、引越しするときの気持ち、旅をしているときの気持ちを思い出せば少しはわかってもらえるかもしれません。 エピローグの最後に著者は次のように述べています。 最後に。二者択一ではない。瞬間を生きるのか、生きないのか。そんな無骨な二元論を説いているつもりはない。プロの作家や宗教家ではないのだから、四六時中、瞬間を生き、レアリテ、真の生に見開かれている必要なんかない。 コーアクティブ・コーチングの生きる指針には3つあると書きましたが、プロセス以外の二つは、ある意味、「イケイケドンドン」的な指針です。自分の価値観を尊重し、自分が目指すところに向かって生きていく。自由自在に視点を変えつつ、とにかく前に進む行動を起こしていくといった指針です。 「イケイケドンドン」だけでもない、しかし、「瞬間いまここ」だけでもない。 両方を抱えつつ生きていくことがこの人生を思う存分生きる秘訣のように今は思っています。 「私はこれこれをしています」ということばかり気にしている。本当はそれ以前に、もっと大切なこととして、「be」、つまり「私はここにいます」、「ここに存在しています」ということがあるはずでしょう。それなのに、人間として「ある」ということに満足してボーっとしている人はめったにいない。みんないつも「何かをしなくては」とくあくせく動き回って、「俺はこれをやったぞ」といったアピールばかりしているわけです。 おそらく、人間は「ある人」でもあり「する人」でもあるなのでしょう。 でも、確かに今は「する」にばかり注目していますよね。 コメント
吉尾さん
コメントありがとうございます。 亀レスですいません。 宇都出
| 宇都出雅巳 | 2012/01/26 3:35 PM |
もう20年も前のことだけども、トレーニングを受けている最中に、「俺はここで何をすればいいのですか?」と質問したことがあって、その時「あなたはここにいればいいのですよ」と言われたことがあってね。
その時の俺は何かをして、その先の結果をつくることに意識が集中していて、その場に「いない」ことをフィードバックされたんだよ。 哲学的なことはわからんけれど、そのことを思い出した。大事なことです。ありがとう。 それからリンク貼ってくれて、おおきにです。
| 吉尾 | 2011/11/23 1:26 AM |
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