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『構造構成主義とは何か?』−『人を助けるすんごい仕組み』の基本原理
JUGEMテーマ:読書

 本書は、被災地への支援プロジェクトの立ち上げからその経過を描き、話題を読んでいる『人を助けるすんごい仕組みの著者が7年前に書いた本です。

タイトルのとおり、「構造構成主義」という考えについて解説しています。

その目的は「信念対立の超克」。

本書は、人間科学の信念対立を超克し、建設的基盤を提供するための「理路」を提供することを目的としている。

家族間、友人間、そして会社でも、そして社会でも、意見の対立は必ず起こります。
そして、多くの場合「不毛な」対立になっていないでしょうか?

「自分が正しい」「そっちが間違っている」

ただただ、自分の主張をぶつけ合うだけで、疲れてしまう。

そんなことは、日常生活の中、会社の会議の中、そして、新聞やテレビでの討論でもよく起こります。

そんな対立を超えて、建設的になるにはどうしたらいいのか?

そんなヒント、基盤が本書には数多くあります。

著者の言う「構造構成主義」を支えているのは3つ。

その3つとは、

● 池田清彦の構造主義科学論

● フッサール・竹田青嗣の現象学

● ソシュール・丸山圭三郎の言語学

そして、その中心原理としてすえられているのが、「関心相関性」です。

この概念は、詳しくいえば「身体・欲望・関心相関性」(竹田、1995『ハイデガー入門』)といわれるものである。それは、たとえば、死にそうなほど喉が渇いていたら「水たまり」も「飲料水」とう存在(価値)として立ち現れることになるように、<存在・意味・価値は主体の身体・欲望・関心と相関的に規定される>という原理である。したがって、それは正確には「身体・欲望・関心相関性」というものになり、使用される文脈(目的)によって、まさに関心相関的に、その相関基軸を「身体」「欲望」「関心」のいずれかに変えることが可能である。

この「関心相関性」をはじめ、読んでみると非常に「当たり前」のことです。

そして、同時にその「当たり前」のことをテーマにする重要さを改めて認識させられます。

もっとも「言われてみて思い当たること」と、それを「身につけ」「実践している」ことはまったく異なる。関心相関的観点を徹底して実践することは誰にとっても容易ではないように思われる。なぜなら、人間というのは当たり前のことを、当たり前だからこそ、当たり前のように忘れてしまう性質をもっているからである(少なくとも私はそうである)。したがって、当たり前のことを忘れないようにするにはそれを思い出すための概念(認識装置)が必要なのである。

本書で展開されている考え方は、私が『絶妙な「聞き方」の技術』(明日香出版社)で紹介した聴き方、

● 「意識の矢印」を「自分」だけでなく「相手」に向けて聴く

● 「事柄」だけでなく「人」に焦点を当てて聴く

に通じるものがあります。

また、『スピード読書術』(東洋経済新報社)や『どんな本でも大量に読める「速読」の本』(大和書房)を支える基本原理である

 「読書とは本から読者への一方通行のダウンロードではなく、本と読者の協働作業である」

にも重なります。

自己啓発本でもないのに、著者の熱い思いが強く感じられる本であり、この著者がとてつもない被災地支援プロジェクトを立ち上げ、遂行したことも納得させられます。

著者の西條さんと糸井重里さんの対談はこちら↓で読めます。
「西條剛央さんの、すんごいアイデア」

そこでは「構造構成主義」についても語られていますが、かなりはしょられているので本書を読むことをお勧めします。

また、こちらの私が書いたブログ記事もお読みください。

 → 『人を助けるすんごい仕組み』と高速大量回転法

 → 高速大量回転法は「すんごい仕組み」です

| 宇都出雅巳 | 哲学 | 11:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
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