宇都出ブックセンター

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『僕とツンデレとハイデガー』−−世界に確実なものはあるのか?

先月行った勉強会・宇都出カフェの参加者のお一人から教えてもらった一冊です。

ちょっと手に取るのが恥ずかしくなるような、アニメキャラの女の子が表紙です。

8人の哲学者(デカルト・スピノザ・バークリ・ヒューム・カント・ヘーゲル・ニーチェ・ハイデガー)の思想を、その化身である8人の女の子が紹介してくれるという小説仕立ての解説書です。

『もしドラ』のように、ところどころに、女の子のイラストも入り、いわゆる「萌え」的要素も入って、硬く・難しい話を興味深く読めるような舞台設定になっています。

ただ、取り扱っているテーマは骨太です。

「世界に確実なものはあるのか。あるとしたら人は、その確実なものを手に入れられるのか」という疑問。

だれもがいつかは突き当たる疑問でしょう。 もし気づいていなくても、どこかでこの疑問から逃れるために生きているかもしれません。

話のクライマックスは、もちろん、タイトルにも入り、8人の哲学者の最後を締めくくるハイデガー

その著書『存在と時間』をところどころ引用しながら、まさに人間の存在そのものに迫っていきます。(ちなみに、小説の中ではハイデガーの化身・春出川千夏という女の子と主人公のフォークダンスをしながらの会話で語られます)

そこで最後に示されるのは……

 「死」と向き合うこと。

「死に臨む自由において、人は自己を取り戻す。死は、自分だけのものだから。死において人は孤独になるから。死を先駆することで、人は世間から切り離されたおのれを意識することができる。

 死という自分固有の可能性を自覚した現存在は、もはや世間に惑わされることはない。人に自分をくらべて焦ったり、あるいは人を誤解して追いかけたり、そんなことはただ自分の実存を虚しくするだけだと気がつくから。

 死には係累がない。つまり誰も自分の死を救ってくれることはない。でも死の孤独を意識することで、かえって人とのつながりが生まれる。死を先駆することは、死に至るまでの自分の可能性を、かえって意識することになるから。だから、今の自分の可能性をしっかりと生きようとするようになる」

先日、安冨歩さんの『生きる技法』という本を紹介しました。

 → http://utsude.jugem.cc/?eid=222

この中で、「依存する相手が増えるとき、人はより自立する」という言葉がありました。

「依存」は「協力」「協働」という言葉に換えられるかもしれませんが、「死」ということにおいては、自分だけのものであり、「依存」できませんね。

そこと向き合っているからこそ、それ以外のことは依存できるようになるとも言えるでしょう。

昨年亡くなった、スティーブ・ジョブズは、かの有名なスタンフォード大学卒業式のスピーチで語っているところによれば、「今日が人生最後の日だとしたら……」と毎朝自問して、自分の死と向き合っていたそうです。

17歳のとき次のような一節を読んだ。「毎日を人生最後の日であるかのように生きていれば、いつか必ずひとかどの人物になれる」。私は感銘を受け、それ以来33年間毎朝鏡を見て自問している。「今日が人生最後の日だとしたら、私は今日する予定のことをしたいと思うだろうか」。そしてその答えがいいえであることが長く続きすぎるたびに、私は何かを変える必要を悟った。

自分が間もなく死ぬことを覚えておくことは人生の重要な決断を助けてくれる私が知る限り最も重要な道具だ。なぜならほとんどすべてのこと、つまり、他の人からの期待や、あらゆる種類のプライド、恥や失敗に対するいろいろな恐れ、これらのことは死を前にしては消えてしまい、真に重要なことだけが残るからだ。いつかは死ぬということを覚えておくことは落とし穴を避けるための私が知る最善の方法である。何かを失うと考えてしまう落とし穴を。あなたはもう丸裸だ。自分の心のままに行動しない理由はない。(出所:https://sites.google.com/site/himazu/steve-jobs-speech

 ハイデガーについては、以前、古東哲明さんの『ハイデガー=存在神秘の哲学』を読んで、「存在」というものの奥深さに衝撃を受けたことがあります。

 「存在」、そして「死」

 いま、このブログを書きながら、2歳の息子が妻とウルトラマンごっこをやっているのを見ています。

今日も生きましょう。

(こちらの記事もどうぞ → 古東哲明さんの『瞬間を生きる哲学−−<今ここ>に佇む技法』

| 宇都出雅巳 | 哲学 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
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