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満州移民−−飯田下伊那からのメッセージ
JUGEMテーマ:読書
 
先日、「中国残留日本人孤児」の時洪告さんが来日され、残念ながら手がかりがないまま離日された。

敗戦当時の年齢は2歳だったそうで、現在は中国の戸籍上の年齢では68歳。

肉親に会いたいという思いはとてつもなく強いものだと思います。

この「中国残留日本人孤児」の背景にあるのは、ご存知とは思いますが、日本からの大規模な「満州移民」です。

本書は、日本最大規模で満州移民を送り出した長野県飯田下伊那地域に焦点を当て、その背景、現実、そしてその後を描き出したものです。

まずはその背景。
 1929年の世界恐慌は、養蚕に生計の多くを頼っていたこの地域の農家は大きな打撃を受けました。 
 そこに農林省が当時行なっていた経済更生運動の一つに満州分村移民が加えられました。

 その結果、村への補助金交付、低利資金貸付などの”アメ”と、上からの強制割り当てという”ムチ”を持って、満州への移民を進められていったのです。

 その様子が本書では生々しく描かれています。

そして、移民の現実

入植地として与えられた土地は、もともと現地の人が耕していた土地が強制的に安く買い上げられたものでした。当然、現地の人との摩擦があり、それが戦後の悲劇へとつながっていくのです。

本書はその半分以上が、戦後の歴史にページが割かれています。

第3章:逃避行から引き揚げへ、

第4章:満州移民の戦後史です。

経済的苦境にあえぐ地方が、お金をちらつかせる国策に翻弄され、その結果、多くの人が土地を失い、貴重な命を失ったということは、

その程度の差こそあれ、福島の多くの人が「原発推進」という国策に翻弄され、3.11の原発事故で土地を失ったことを思い出させます。

3.11もすでに忘れられ始めているとも言われますが、満州移民などはすでに忘れられてしまった遠い昔の過去なんでしょう。

しかし、この歴史は決して風化させず、語り継いていかなければならないと思います。

私が少ないながらもこの歴史に関心を持ち続けているのは、私の母が中国からの引揚者だからです。

敗戦当時にいたのが満州ではなく北京だったため、早い段階で引き揚げることができたそうですが、それでも日本に帰るまではとてつもなく大変だったと聞いています。

なので、完全に他人事とは思えないのです。

また、確か高校生のときだったかに読んだ次の本が強烈に印象に残っていることも大きいです。

 『墓標なき八万の死者−−満蒙開拓団の壊滅』(角田房子著 中公文庫)

初めて読んだとき、そのあまりもの悲惨さ、理不尽さに涙を流したことを覚えています。

こうやって書きながら、母の話を自分の子どもたちに聞かせなければいけないなあとつくづく思います。 

ただ、まだ小さくてわからないでしょうから、母に頼んでその話をビデオに収録させてもろわなければ……とも思いました。

『満州移民』も『墓標なき八万の死者』も図書館には置いてあると思いますので、ぜひ読んでみてください。
| 宇都出雅巳 | 大東亜戦争 | 09:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
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