宇都出ブックセンター

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『ダウン症の子をもって』(正村公宏著 新潮文庫)
久々の更新です。これこそ長く読まれるべき名著だと感じ、ご紹介しました。

この本(単行本)と初めて出会ったのは、今から30年前、大学1年のときでした。遊びに行った兄の部屋の本棚にあったこの本を、手に取ったのを今でも覚えています。

ただ、その時この本を読んだのか読まなかったのか、はっきり覚えていませんでした。今回、改めてこの本(文庫本)を読んでみて、内容に読んだ覚えのあるものはほとんありませんでした。おそらく30年前はこの本の内容を読むことができなかったんだと思います。

ところで、30年も経ってこの本を読もうと思ったきっかけは、新聞に出ていたある記事を読んだからでした。

「僕は不幸じゃない」 障害児発言、ダウン症青年の思い という見出しがついた記事でした。

記事の内容を少し引用すると……

(以下の内容は、Web版 朝日新聞2015年11月30日より)

茨城県の教育委員が障害児の出産を「茨城県では減らしていける方向になったらいい」などと発言し、辞職した。2013年にはダウン症などの胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断が始まり、羊水検査などで異常が確定した人の中には中絶を選んだ人も多い。あるダウン症の青年は問いかける。「なぜ? 僕は不幸じゃない」

「言ってはいけない発言。怒ってます。辞める前に、何であんなことを言ったのか、議論したかった」

そう語るのは、あべけん太さん(28)=東京都世田谷区。茨城の教育委員が、「妊娠初期にもっと(障害の有無が)わかるようにできないのか」などと発言したことを父親から聞き、ネットでニュースを読んだ。


この記事を読んだとき、「自分もできればダウン症を含め障害児の出産が減ったらいいと思っているかもしれない」と思いました。そして、あべけん太さんに私も怒られている気がしました。

その後、記事を読み直し、出生前診断によって、すでに命を授かっている赤ちゃんの命を奪うことで減らそうと私が考えているわけではないことには気づきましたが……

ただ、ダウン症の子どもなどを不幸な運命と感じ、そういった運命の子どもが減ったらいいなあとは確実に思っていました。おそらく、こういう考え自体にも、あべけん太さんは、「それは違うよ」と言うと思いました。

そのときにふと思い出したのが、本書『ダウン症の子をもって』だったのです。

著者の正村公宏さんは高名な経済学者であり、経済学部出身で、大学卒業後も経済出版社に勤務していた私にとってなじみのある方でした。ただ、この本を手に取ることはなかなかできませんでした。

ただ、9歳と5歳の子どもを持つ父親となった今、ぜひ読んでみたいと思ったのです。

読んでみて、ただただ引き込まれ、圧倒され、感動し、笑い、泣きました。

劇的な物語があるわけではありません。ここに書かれているのは日常のささやかな日常です。しかし、だからこそ胸を打つ、といいますか全身を打つものがあります。

ただただ、お勧めします。
| 宇都出雅巳 | - | 19:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
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